【オリジナル】花売り少女と時止めさんⅣ【名前変換可能】 (ページ48)

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するとティーカップを目の前に置かれた。中には透明な紫色の液体が入っており、ユーリは顔を上げた。見上げた先には済ました顔のノアールがティーカップをすすっている。

「ええと……」
「ラベンダーティー」
「ラベンダーって、紅茶になるんですか？」
「ああ。精神的回復の効能がある」
「そうなんですか」
「お前……まあいい」

ノアールは何か言おうとしたようだが、すぐに口を結んだ。それにユーリは首を傾げる。
　ラベンダーティーを口に運ぶと、さっぱりとしながらどこか甘みのある味が口に広がり、ユーリは目を輝かせる。

「お、おいしいです！」
「ああ、うん。良かった」

ノアールはあしらうような返事をして、もうひとつティーカップを机の上に置くと椅子に腰をかけた。ユーリはそれを不思議に思ったが疑問はすぐノアールの問いにかき消された。

「それじゃあ、ユーリ。質問の時間としようか」
「質問、ですか？」
「聞きたいことがあるだろう」
「あ……」

　そうだ。聞きたいこと、一杯あるんだ。けれど、いざとなると聞きたいことが出てこない。
　どうしようとわずかに戸惑ったユーリはふと疑問に思う。あれ、私……ノアールさんに自己紹介したっけ。
　けれど、先ほど確かにノアールはユーリの名前を読んだ。いや、出会ったはじめの方から呼ばれていたような気もする。
　ユーリは間をおいたあと、ノアールに問うた。

「ノアールさんって、なんていうんでしょうか……情報をその見透かすことって出来るんですか？」
「……は？」
「いや、えっと！あの、私の名前知ってたので」

ユーリは慌てて、訂正した。ノアールの雰囲気が一瞬とげのあるようなものへと変わった気がしたからだ。
　それにノアールはああと納得したように頷いた。

「情報を見透かすのが好きな変質者ですかって聞いてるのかと思った」
「っぶ……あはははははははっ！花売りちゃん、最高！」
「わぁ！？」

唐突に、聞こえた笑い声にユーリは飛び跳ね、ノアールは不満そうに目を細めた。
　見れば上弦に歪められた金色と目があう。白い髪を揺らしたその人物は、机の上に頬杖をついてにんまりと笑っていた。

「え、え……ルシファーさん！？」
「やっぱり来たか。あっちは終わらせてきたんだろうな」
「もちのろん。僕にかかればちょちょいのちょいだよー」
「家との隙間は？」
「あー……それは、ドラン君たちにお任せってことで」