【オリジナル】花売り少女と時止めさんⅣ【名前変換可能】 (ページ31)

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ルシファーはそういって口角を釣り上げた。間もなく、彼は前に手を出す。すると魔方陣が浮かび上がり白いリボルバーが姿を現した。ルシファーはそれを手に取りトリガーに手をかけて……ひく。やがて銃口に、先ほどの銃たちと同様魔方陣が現れた。けれど異様なのは魔方陣の大きさと数。大中小様々な大きさと色が映し出されていたそれは、先ほどと比にならない威力なのはユーリもなんとなく察することが出来た。

「いい？本物の魔法銃っていうのはねえ……こういうもんだよっとっ！」

その瞬間、がんという激しい音と同時に無数の流星のようなものが現れて、あちこちに飛んでいく。それは的確に敵の腕や足を貫いていった。

「あいにく殺しの許可はもらってないんでねえ」

ルシファーはそう言うとにんまりとした冷めた笑顔を浮かべて、拳銃をポンッと音を立てて消した。
　あまりのとんとん拍子の出来事に、ユーリが呆然としているとルシファーはぐいぐいとユーリの手を引いた。

「上はもう無理、多分他にもあんなふうに配置されてる可能性がある。もし飛んだら間違いなく羽撃たれて終わるから下から行こう。飛んでるときは無防備なの」
「は、はい」

手は爪先までしっかりと手入れされていて女性のようにも見えるが、骨格はやはりごつごつしていて男性の手である。
　大またで歩くルシファーには小走りでついていくしかなかった。わたわたと、慌ててついていくと荒れ果てた街の惨状が改めてはっきりと分かった。家によっては激しく燃えていて、あとかたもない。これが自分が今まで歩いて慣れ親しんだ街だと思うと、泣きそうになった。
　けれどルシファーが言ってたとおりめそめそ泣いててどうにかなるわけでもない。ぐっと心を入れなおしてユーリはルシファーの背中を見た。

　それにしてもルチル、どこいったんだろう。無事だといいけど。兵の人たちは明らかにルチルを狙ってた。そうなると今回の標的は恐らくルチル。だから恐らくかくまっていた私だけじゃない、彼のことを黙っていてくれたこの街を襲ったんだ。
　でも、それはあまりにも人間の身勝手なんじゃないだろうか？ルチルだけじゃないロイドもドランも優しいのはユーリは自分自身の体で一番感じていた。だから尚更納得がいかなかったのだ。罪のない優しい彼らを何故殺すのだと。自分たちの安全のためだと言い張っても、彼らは何もしていない。