【オリジナル】花売り少女と時止めさんⅣ【名前変換可能】 (ページ28)

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「あ、あの……」
「んー？」

　ただ、この人物……あまりにも得体がしれなさすぎる。果たして、問うていいものか悩みユーリは一呼吸置いた。けれど、今タイミングを逃せば会えないかもしれない。ユーリはルシファーを見て改めて口を開いた。

「ノアールさんって、黒髪の黒いローブの時止め(ルーラ)さんですか？」
「へえ……知ってるんだ。あの子のこと」

驚いたといわんばかりに眉根をひそめる。けれど表情はさしてうごいてないようにも思えた。ルシファーはしばらく考えた後答える。

「まあ、今はノアールくんのことは後回しにしたほうがいいと思うよ……ルチルくんが、ねえ？」

ルシファーはそう言うと金色の目を上弦に歪めた。どうも、今の状況を楽しんでいるようにも思える。
　確かに、今はルチルのほうを優先したほうが言いとユーリもルシファーの一言で納得した。その瞬間だ。銃弾がルシファーとユーリの隣をかすめ、ルシファーは「うわっ」とバランスをわずかに崩す。ユーリは身を小さく強張らせたが、ルシファーはユーリを離すことはなかった。

「ちょぉっと！なになに！」
「ルシファー、追っ手ー」
「はあ！？君たち、つれてきたの！？信じらんないっ！」

ぶんぶんと手を振るロイドにルシファーは、舌をべーっと出す。
　すると黙っていたベルが、片手に魔法陣を出した。

「ルシファー様！ユーリさんをお願いします！ロイドさん、戦いますよ！」
「え、うそ、ちょっとまって」
「貴方、時止め(ルーラ)でしょう！こんくらいどってことないはずですよ」
「どってこともないわけもなくもない」
「ああ！女々っちいですねえ！男ならどーんとやってください！どーん！と」
「うわあ……だるい」
「オーケー、ベリアル。任せておいてー」
「避難場所のほうにお願いします！」
「んー」

ベルはルシファーの返答を聞き終えると、魔方陣から黒い剣を取り出した。ロイドは首を回し、ポケットから銀色の指輪をいくつか取り出すと手にはめる。するとその銀色の指輪から、糸がつうと生まれていくのが見えた。
　ユーリは歯を食いしばり、叫ぶ。

「ロイドさん、ベルさん！お気をつけてください！」
「ユーリさんも気をつけてくださいねぇ！」
「……がんば」

二人の返答を聞きおえるなり、ルシファーはすぐに宙を蹴った。バッと音を立てて空を切る音がユーリの耳に響く。