【オリジナル】花売り少女と時止めさん【名前変換可能】 (ページ46)

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ベルこと、ベリアル＝オーエン。街の北部の端で雑貨屋を営んでいる。とはいっても、店が開いてるか閉まっているかは本人の気分で変わるのだ。それで赤字になってないのか心配になるが、彼は「やりたいときにやったほうが楽しいし、売れるんですー」だそうだ。そんな彼のどこか間伸びた喋り口調は、人の心を緩ませる気が、ユーリはしてならない。現に彼のそんな返答を聞いて、ああ、それはそうかと、何故か納得した。ついでに、なんで納得したのかと聞かれれば分からないと彼女は断言する。

「カランさんの結婚式にユーリさんもお呼ばれしたんですかー？」
「はい。ベルくんもですか？」
「そうですー！カランさん、わざわざ尋ねて招待状くれたんですー。これは行かないなんて申し訳ないことできないじゃないですかぁー」

そう言って彼はヘラヘラと笑う。何も変わらないようで安心した。むしろ一寸も揺らいでなさすぎて逆に驚いた。

「安心してくださいねー！ユーリさんの結婚式にもちゃんとお呼ばれしたら行きますから！」

ふふん、そう言ってベルは胸を張った。あまりにもそんな彼がおかしくて、それと同時に嬉しくてユーリは思わず笑みを零す。一言、二言会話を交わしていると、ふと気づく。ルチルのお陰で、人と会話する時間が延びた。そんな気がする。
　すぐに彼のことが思い浮かんでしまう。変な癖でもついたのかもしれないと、思わず自嘲してしまった。しかし、こうやってルチル以外の人とも会話するのは新鮮で、別の楽しさがある。そんな気がした。

「ユーリちゃん、ベルくん！」

すると小鳥のさえずるような声がどこからか聞こえユーリとベルは首を傾げた。声のするほうを見ればユーリは思わず目を丸める。

　赤い長めの髪をおさげの三つ編みで束ね、緑の瞳を輝かせたその少女。

「アンちゃん！」

あまりの懐かしさにユーリは飛び上がった。そして、飛びつく彼女をしっかりと受け止める。
　アンと呼ばれたその少女はユーリを見て、薄らとひとみに涙を溜める。

「あんまりにも姿現さないから心配しちゃったよ！病気してたの？大丈夫？」
「アンさん、大げさですよー。多分、会うタイミングが合わなかっただけじゃないですかねー？」
「そうですよ、街にはちゃんと食材買いに来てました」
「え、うそ」

ベルとユーリの言葉にアンは目を丸め、間もなく頬を紅潮させると俯いた。