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「いじわるですか」
「勝手に履き違えたお前が悪い」
ルチルはそうサラリと告げ、椅子に腰をかけた。膨れっ面のユーリをよそに、彼は最初に不織布を伸ばすと「はさみ」と一言。ユーリは眉根を顰め、はさみをカウンターの引き出しの中から取り出し渡した。彼はそれを受け取り、慣れた手つきで不織布を切る。
手を止めることなく、彼は起用にスルスルとラッピングを済ませていく。女子か、お前は女子なのか。内心、絶句するほど器用な彼にユーリは少し……いや、結構ひいた。もしかしたら、自分ができないだけなのかもしれないが、それにしても普段の彼の言動からこの器用さはひく。ひいちゃいけないのかもしれないが、ひく。
素晴らしいとしか言いようがない、手法を見せびらかした彼は、数分も経たずに見事なラッピングを完成させた。綺麗です、すごく。白の不織布を透明なフィルムシートがしわなく覆い、二重に重ねられた銀と白のリボンが綺麗に結ばれていた。もはや、絵に描いたような完璧さである。
一体、どこでそんな手法を身につけたのだ。ユーリは思わず頬を引きつらせた。普通、男性が身につける芸当では到底ないはずである。ルチルは何を磨こうとしているのだろう。
そんなことを考えていたせいか、口を閉じるのをユーリはすっかり忘れていた。ポロリと、漏れてしまったのである。というか漏れたより、氾濫したのほうが正しい。
あ、なんて気づいたときには、まさに時遅し。ルチルが清清しいほどの笑みを浮かべてそこに立っていた。いつの間にか椅子から立ったのだろう。あまりにもその笑顔がきれいすぎて肌が栗立つのを覚える……というか、嫌な汗が噴出してくる。思わず後ずさりすれば、一定の距離とその笑顔を保ちルチルは歩み寄ってきた。
「い、いや……その……」
「なんだ。何も逃げる必要はないだろう？」
いや、絶対ある。絶対ある。悲鳴を噛み砕き、ユーリは回れ右、猛スピードでリビングのほうに引っ込んだ。しかし、相手が悪いのは誰の目から見ても分かることで鍵をかけるよりも早くドアは開けられた。
「……ご、ごめんなさいぃぃぃいいぃぃぃいいぃ！」
ユーリは頭を勢いよく下げると叫ぶような形で2階にかけのぼった。１階から怒鳴るルチルの声が聞こえたが、聞かなかったことにしておく。
しかし事実、百歩譲って自分が悪いことは分かっていた。
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音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）(プロフ) - 五十鈴さん» コメントありがとうございます。お気に召していただきありがたい限りです。今後もゆるい作者ですがよろしくお願いします。 (2016年11月27日 15時) (
レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
五十鈴(プロフ) - 私のハートにこのお話がどストライクしました(真顔)めっちゃ面白かったです！(*^-^*) (2016年11月26日 23時) (レス) id: 72f0cf2fb8 (このIDを非表示/違反報告)
音霧想(プロフ) - チョロ猫さん» コメントありがとうございますm(_ _)m現在、テスト間際ということで更新停止させていただいていますが、これからも楽しんでいただけたらなと思います(*ﾟ▽ﾟ*)ゆるゆるな作者ですが何卒よろしくお願いします。 (2016年6月27日 8時) (レス) id: 7d8ba4b3f5 (このIDを非表示/違反報告)
チョロ猫 - この小説の雰囲気すごく好きです。話の内容も、優しくて読んでいてとても楽しいです！更新楽しみにしています！！がんばってください！ (2016年6月27日 1時) (レス) id: d16235083c (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@ホラーゲーム製作中(プロフ) - ミカノンさん» ありがとうございます! そう言っていただき光栄です。 (2016年6月12日 10時) (レス) id: cc2ec66050 (このIDを非表示/違反報告)
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