ページ ページ32
「そうだな。じゃあ、今度見せてやる。水魔法と植物魔法、光魔法な」
「あ、あと！ 石の魔法？」
「石化魔法だな。分かった」
ははっと笑うルチル。ユーリはこんな笑う人だったんだと、驚いた。勝手にユーリはこんな風に彼は笑わないものと決め付けていたのだ。しかし、よく考えれば彼も生きてるんだ。笑って……当たり前なんだ。
思わずふにゃりとユーリが笑みを浮かべれば、ルチルは釣られるかのような笑みを浮かべた。そしてユーリの頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
「でも、その前に、お前は仕事終わらせなきゃだな」
「あ……う……が、頑張ります」
「ああ……最悪、俺も手伝ってやる。花言葉くらいならどうにかなるから」
それに、ユーリは思わず目を丸めた。そして間もなく「はい」と綻ぶような笑みを浮かべる。
本当に素敵な人だ。この人に愛してもらえる人はきっと幸せだろうと、ユーリは思う。綺麗で、本当に優しくて、時に見せてくれる笑顔が素敵で……いいところを挙げ始めたらきっときりがない。
「ほら、さっさと仕事やるぞ」そうルチルはユーリの頬を軽く引っ張った。しかし、全然力を入れてないせいか、痛くない。ふにゃぁとそれに笑みをユーリが浮かべれば、ルチルは変なやつと言わんばかりに眉をひそめた。
「そうですね！ 頑張りましょう！」
ユーリは時たまにルチルの力を借りながら、作業を進めていった。彼の記憶力と持っている知識は予想より斜め上、いや直角上をいって凄まじいものだった。花の知識はそれなりにあるユーリだったが、ルチルの知識はそれより遠く上をいったのである。
「カランさんだったか。確か、感謝が伝えられる花って言っていたな」
「は、はい」
「結婚式ってことは、色は白になるか」
「でしょうね」
「となると、キク科ダリア属の多年生草本植物に部類される白いダリアだな。確か花言葉は『感謝』『豊かな愛情』だったはずだ。あの人の喋り口調、行動をから見てる限り、豊かな愛情も合いそうだが……どうだ」
「そ、そうですね。へ、平気です。白いダリアの種はあったと思います！ 探してきます！」
驚いた。というレベルじゃなかった。さすがに、ユーリも何科とか属とかは覚えてなかった。しかも、行動や口調から性格まで判断してしまうとは……もはや、尊敬を通り越して恐怖すら覚える。
恐らくだが、彼は心理学の分野の知識も豊富にあるのだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）(プロフ) - 五十鈴さん» コメントありがとうございます。お気に召していただきありがたい限りです。今後もゆるい作者ですがよろしくお願いします。 (2016年11月27日 15時) (
レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
五十鈴(プロフ) - 私のハートにこのお話がどストライクしました(真顔)めっちゃ面白かったです！(*^-^*) (2016年11月26日 23時) (レス) id: 72f0cf2fb8 (このIDを非表示/違反報告)
音霧想(プロフ) - チョロ猫さん» コメントありがとうございますm(_ _)m現在、テスト間際ということで更新停止させていただいていますが、これからも楽しんでいただけたらなと思います(*ﾟ▽ﾟ*)ゆるゆるな作者ですが何卒よろしくお願いします。 (2016年6月27日 8時) (レス) id: 7d8ba4b3f5 (このIDを非表示/違反報告)
チョロ猫 - この小説の雰囲気すごく好きです。話の内容も、優しくて読んでいてとても楽しいです！更新楽しみにしています！！がんばってください！ (2016年6月27日 1時) (レス) id: d16235083c (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@ホラーゲーム製作中(プロフ) - ミカノンさん» ありがとうございます! そう言っていただき光栄です。 (2016年6月12日 10時) (レス) id: cc2ec66050 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
