六日目 薊 ページ10
清玄(きよはる)side
お花見に行ってから何日か経った。
あれから白(きよ)はずっと栞を持ち歩いている。また、あれから実験も順調で白は色々な感情を知っていった。
今日も栞を病衣のポケットに入れた白がリビングの大窓の前で外を眺めていた。
今日も晴天。
「白、ずっと栞持ち歩いてるけどどうして？」
僕はダイニングキッチンの机の前に座り、珈琲片手に白に尋ねた。
「何でだろう、ずっと側にいて欲しいの」
ふーん。と小さく相づちをうち、また１つ白に教えてあげたいことが思いついた。
「栞に本来の仕事をさせてあげようか」
「どうゆうこと？」
「ふふ、ついておいで」
僕は、白の手をとり、父親と呼ぶべき人の使っていた書斎へ向かった。
「大きな棚がいっぱい・・・この紙の集まりはなに？」
「ここは書斎っていって、本が沢山あるところだよ。栞はね、本達にはさんで使うものなんだ」
少し埃っぽい部屋には本当に沢山の本がある。
白も興味津々といった様子ですでに目の前の本棚から本を引き抜こうとしていた。
父親だった人は喜劇よりも悲劇を好み、儚い終わり方をする本ばかり読んでいた。
あとは父親だった人の行っていた実験の資料だとか、カルテだとかそんなものが敷き詰められている。
父親だった人は「治せない医者」であった。
自分の好きだったものに取り込まれた様に、最期まで悲劇の物語の主人公のような人だった。
そのため、この部屋のにはそんな父の舞台の台本が敷き詰められている。
「兄様、この本は何？」
白の手には夜空のような表紙の本がのせられていた。
表紙にタイトルはない。
見せて、そういって僕自身も見たことのない本の裏表紙を見てみた。
そこには、金色の文字で母親の名前が記させていた。
「これは、白が大好きだった人の本だね」
「なんのお話？」
「ううん、お話じゃなくて星の図鑑だよ。そういえば星が大好きだったな」
「そうなんだ」
「よくこの本を見つけたね、大切にしてあげて」
嬉しそうに笑った白はもう本の頁を繰っている。
だが、内容をみた瞬間顔を歪ませる。
「全然わかんない」
「そうだね、今日はもう実験の時間だからダメだけど、明日から文字を教えてあげる」
「さ、行こうか」 「うん」
白は少し頁繰って、気に入ったらしい頁に栞をはさんだ。
そうして、実験室へ向かった。
【薊】(あざみ)
花言葉「触れないで」
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リン(プロフ) - ねんねこさん» 返信遅くなり、申し訳ございません！！綺麗で儚く美しい文章を綴りたいと思い作った小説であったので伝わってとても嬉しいですヾ(*´∀｀*)ﾉ更新ももっと早くできるよう努力しますね！良ければこれからもよろしくお願いします！！ (2018年11月23日 17時) (
レス) id: 36ae7035f1 (このIDを非表示/違反報告)
ねんねこ(プロフ) - えっすごい面白いというか文が素敵…！花言葉等も凝っていて素晴らしいです！お気に入り追加しちゃいました…続き見たいです！ (2018年11月6日 3時) (レス) id: b2f2509cb0 (このIDを非表示/違反報告)
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