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二日目 袋撫子 ページ4

実験二日目 朝

窓から差し込む暖かな日差しに起こされた。、

体を起こし、大きなあくびをひとつ。

窓辺には袋撫子が飾られていた。

(誰がおいていったの?)

その花を眺めていると、兄様が入ってきた。

「おはよう、白(きよ)朝ごはんだよ、」

「朝ごはんはどこで食べるの?」

兄様は静かに笑って、私の冷たい手を取った。

「こっち」

兄様に連れられて、渡り廊下を進んで玄関のような所を抜けると、見覚えのあるリビングとキッチン。

そこに食事が並べられていた。

「渡り廊下の奥は、僕たちの家と同じ内装にしてるんだよ」

「懐かしい・・・気がする」

私がそう言うと、兄様は甘い笑顔をこぼした。

何故、笑うのだろう。しかも、何時もより嬉しそうに。

いつの日かわかる日が来るのだろうか。

そんなことを考えている間に兄様は席に着いた

「さぁ、食べよう。冷めちゃうよ」

私も椅子に座り、食事を始めた。

いただきますを真似して言ってみた。



食事が終わり、実験室へ向かう。実験が始まるようだ。

「怖い?」 「わからない」

「大丈夫だよ。怖くない。怖くない」

そうやってまた兄様は私の手を取った。人の温度を感じた。

私の手は冷たいから。

実験室へ入ると、一つの処置ベッドに沢山の配線コード。

処置べッドの前にはテレビがいくつも積まれていた。

「さぁ、始めようか。ベッドに横になって酸素マスクをつけてくれる?」

私はベッドに寝転び、マスクをつける。

「じゃあ、目を閉じてて。今日は初めてだから、眠ってていいから」

素直に言葉に従った。ゆっくり目を閉じて、体を預ける。

首の識別子を読み取られ、コードが繋がれたのがわかった。

そこで私の意識は途絶えた。


その後は夢を見ているようだった。幼い私と、兄様がいて

あと・・・母様と呼ばれる人。

三人で星を、見ている・・・?

するとふっと景色が変わって紙切れが見えた

そこには「白、病名・・・・・」

病名と書かれた続きの文字は滲んでいて見えなかった。

そこで夢は終わり、目が覚めた。

目からは涙が流れていた。

兄様はそれを拭い微笑む

「何か、わかった?」

「星を見ていた、あと私の名前と病名の書かれた紙?」

「それは君の昔のお話なんだ」

「昔の・・・話?」

「そうだよ、いつか話してあげるよ、僕の口から」

そうして兄様は私に口づけをした。

「早く還ってきてね、白」



【袋撫子】

花言葉「偽りの愛」

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リン(プロフ) - ねんねこさん» 返信遅くなり、申し訳ございません!!綺麗で儚く美しい文章を綴りたいと思い作った小説であったので伝わってとても嬉しいですヾ(*´∀`*)ノ更新ももっと早くできるよう努力しますね!良ければこれからもよろしくお願いします!! (2018年11月23日 17時) (レス) id: 36ae7035f1 (このIDを非表示/違反報告)
ねんねこ(プロフ) - えっすごい面白いというか文が素敵…!花言葉等も凝っていて素晴らしいです!お気に入り追加しちゃいました…続き見たいです! (2018年11月6日 3時) (レス) id: b2f2509cb0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リン | 作者ホームページ:(´▽`*)ノシ  
作成日時:2016年12月27日 12時

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