藍と愛と哀で、 ページ18
少年と出会ってから、しばらくお話ししたり、遊びを教えてもらううちに、ずいぶん時間が経ったのだろう。
辺りはもうオレンジ色に染められている。
「そろそろ帰らないとな〜まだ白(きよ)と遊びたいのに」
「また会えるよ」
「それもそうだね、帰ろっか。白お家どこ?」
「鳥居を抜けて暫く歩いたところ」 「送ろうか?」
「ううん、いいよ。藍(らん)の帰りが遅くなっちゃう」
「そっか。じゃまた今度!」
そう言うと少年は夕日へ向けて走っていった。
「ただいま」
「お帰り、白。結構ゆっくりしてたんだね」
私がドアを開けると兄様は直ぐにお迎えに来てくれた。
兄様の真っ白なエプロン姿とキッチンから漂う香りのお陰で今まで忘れていた空腹感が一気に押し寄せてくる。
「お腹すいたでしょ、ご飯の時に白の冒険のお話しは聞かせてもらうことにしよう。手、洗っておいで」
兄様はなんでもお見通しだなと感心しながら兄様の風車を部屋に飾り、ご飯の支度を始めた。
「じゃあ、いただきます」 「いただきます」
「それで、今日は何をしてたの?」
兄様は目をキラキラさせてそう尋ねた。早く聞きたいといった感じだ。
「神社で男の子に会ったの」
そうして、藍に髪と名前を誉められたことや、一緒に話をしたこと、じゃんけんなんかも教えてもらったことを話した。
そういえば、兄様ともじゃんけんをしようと思っていたこともすっかり忘れていた。
「そっか・・・、白にもお友達ができたか」
「兄様にもいる?」 「ふふ、いるかもね」
清玄(きよはる)side
今日の実験も要らないか。
藍、くん。白と同じ色の名前。
この藍色が真っ白な白色を彩るのだろうか。
そんな日が来たらきっとそれが一番いい。
少し哀しいけれど。
真っ黒が真っ白を支配するよりずっといい。
いつか僕も会ってみたいな、なんて想いながらそんなことを考えていた。
「兄様、ずっと笑ってる」
「白のお話しを聞くのが楽しいんだよ」
「ねえ、白」 「何?」
「また今度、藍くんも一緒に三人で星を見に行こうね」
僕がそう言うと、白は目を見開いた。
「いいの・・・!?」
「もう少ししたらね、まだ少し早いな」
「楽しみ・・・」
そうして、白は目を閉じて微笑んだ。
星を見に行く時が来たら、それは白色が彩られていく大きなきっかけになる。
きっと鮮やかに大瑠璃草の花のように染まっていくだろう。
そうであってほしいと祈るままだった。
【大瑠璃草】
花言葉 真実の愛
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リン(プロフ) - ねんねこさん» 返信遅くなり、申し訳ございません!!綺麗で儚く美しい文章を綴りたいと思い作った小説であったので伝わってとても嬉しいですヾ(*´∀`*)ノ更新ももっと早くできるよう努力しますね!良ければこれからもよろしくお願いします!! (2018年11月23日 17時) (レス) id: 36ae7035f1 (このIDを非表示/違反報告)
ねんねこ(プロフ) - えっすごい面白いというか文が素敵…!花言葉等も凝っていて素晴らしいです!お気に入り追加しちゃいました…続き見たいです! (2018年11月6日 3時) (レス) id: b2f2509cb0 (このIDを非表示/違反報告)
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