八日目 玉簾 ページ16
眩しい、朝日。今までの優しさは無くなって、いつの間にか突き刺すような日差しになっていた。
私はゆっくりと起きあがり、少し寝癖のついた頭をかいた。
今日の花は、玉簾(たますだれ)。綺麗な白が青い空によく映える。
少し違う空気の匂いに、今日はあの神社までお散歩に行ってみようかと思った。
もう、美味しそうな朝ごはんの香りがしている。早く兄様におはようを言いに行こうと、支度を始めたのだった。
「兄様、おはよう」 「お、白(きよ)おはよう」
食卓には食パンに兄様特製の木苺のジャム。このジャムが私の最近のお気に入り。
私も配膳を手伝い、一緒にいただきますをした。
「今日は神社までお散歩してきていい？」 「いいよ、僕は扇風機の準備をしておこうかな」
扇風機という聞きなれない単語に少しワクワクして質問を一つ。
「扇風機って？」 「風を作ってくれる機械だよ。暑〜い夏が来るからね」
風を起こす機械が必要になるくらい夏は暑いんだ。
季節は不思議だ、ちょっと前まで優しい陽気だったのに今度はとっても暑くなるなんて。
なんだか信じられないな。
「神社に行くなら水筒と帽子を持って行きな。あとは僕が作った風車もあげる！」
「風車？兄様が作ったの？」
「うん！夏が楽しみで作っちゃった。ふーって息をかけると回るおもちゃだよ」
そう話す兄様もどこか楽しそうで。夏が来るのが待ち遠しいといった感じだ。
やっぱり、兄妹なんだな。なんてね。
「「ごちそうさま」」
「少し待っててね。すぐとってくるよ」
そうして兄様はすぐに準備をしにいってしまった。
そういえば、あの神社にも風車が沢山あったな。あれはいったい誰が置いていったものなんだろうか。
「はい。水筒に、帽子」 「ありがとう」
「あとは、風車。白をイメージして作ったんだ」
手渡された風車は、花柄の白と赤の和紙で出来ていた。
兄様が私に作ってくれた事がとても嬉しくて、風に回させてあげるのがもったいないくらいだ。
「綺麗・・・ありがとう」「うん！さ、行っておいで。暗くなる前には戻るんだよ」
そうして、今日も真っ白な病衣のままで外に飛び出した。
木漏れ日の降り注ぐ道を乾いた風が駆け抜ける。
手元の風車もカラカラと歌っているようだ。
なんだか今日はいつもと違う。
そんな躍る心に身を任せ、スキップをしてみた。
【玉簾】(たますだれ)
花言葉 期待
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リン(プロフ) - ねんねこさん» 返信遅くなり、申し訳ございません！！綺麗で儚く美しい文章を綴りたいと思い作った小説であったので伝わってとても嬉しいですヾ(*´∀｀*)ﾉ更新ももっと早くできるよう努力しますね！良ければこれからもよろしくお願いします！！ (2018年11月23日 17時) (
レス) id: 36ae7035f1 (このIDを非表示/違反報告)
ねんねこ(プロフ) - えっすごい面白いというか文が素敵…！花言葉等も凝っていて素晴らしいです！お気に入り追加しちゃいました…続き見たいです！ (2018年11月6日 3時) (レス) id: b2f2509cb0 (このIDを非表示/違反報告)
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