光 ページ11
普通科とヒーロー科の寮は少し距離があるから、門の前でお別れということになり車田さんにお礼を言った。
「一人で帰れるか？」
「友達が待っててくれるから。」
「そうか…」
不服そうな兄。
ケッと吐き捨てたまま何も言わない爆豪さん。
どこか不安そうな顔をした緑谷さん。
「ほら三人とも、早く行って！
そんなにジロジロ見られたら帰り辛いから。」
爆豪さんは、その途端「お前もう兄貴に近づくな！！疫病神2人に加えてテメェまでいると守るもん増えてやり辛え！！」
そう言って兄の襟首を強引に引っ張って、スタスタと背を向けて歩き出した。
「ごめん、かっちゃんに悪気は無いんだ。」
「大丈夫です。」
残された二人で苦笑し合う。
「さっきは、話してくれてありがとう。
話しにくかったよね…その、お兄さんのこと。」
無言で首を振る。気にしなくていいのに。
しばしの沈黙の後、私は傷だらけの手をとって言った。
「緑谷さん……兄のこと、頼みます。」
「Aさん……」
ただでさえ、守るものの多い人にこれ以上負担をかけるのは間違っていると思う。
でも……いつか兄が折れてしまった時、
立たせてあげられるのは、
そばにいてあげられるのは、この人にしかできない。
「きっと、危ないマネをするだろうから、守ってやってください。」
ギュっと両手を握ると真剣な目で頷いてくれた。
「約束するよ。僕は友達を見捨てたりしない。助けて勝つから。」
「その分…あなたも兄を頼って。
身内贔屓かもしれないけど、あの人は馬鹿だけど、きっとあなたを助けられる。役に立ちますから。」
とうに消えてしまった兄の姿を追う。
兄さん、あなたはきっといいヒーローになるよ。
だってあなたのそばには光が、緑谷さんがいるんだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4219人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くじら(プロフ) - めっちゃ好こです！更新頑張ってください！ (4月5日 8時) (
レス) @page30 id: 85541f6d4c (このIDを非表示/違反報告)
爪楊枝 - 読んでいて、すごく楽しいです！！ (3月29日 8時) (レス) @page30 id: ee4a2d718e (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - アップルパイさん» ありがとうございます！感情移入して読んでくださりとても嬉しいです！亀更新ですがこれからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 名無し47183号さん» ありがとうございます！亀更新で本当に申し訳ありません…！これからも応援していただけると幸いです！ (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 錫也さん» ありがとうございます！荼毘くんと逃避行していたら今頃…… ご愛読ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：餅つき団子 | 作成日時：2023年3月7日 17時
