言えない ページ1
夏兄不在の中、どんどん片付けが進んでいく。
緑谷さんたちがペロリと平らげてくれたことを姉さんは喜んでいたけど、やっぱりどこか悲しそうで、私は見ていられなかった。
座椅子を片付けつつ、姉さんと兄さんの会話を無言で聞く。
姉さんもお父さんに対して思うところはあるらしい。
でも、このチャンスを無駄にしたくないと言う。
「焦凍はお父さんのことどう思ってるの？」
「この傷は親父から受けたものだと思ってる。」
「お母さんは耐えて…耐えて溢れてしまったんだ。お母さんを蝕んだあいつをそう簡単に許せない…」
「でもさ……お母さん自身が乗り越えようとしてるんだ。」
一刻も早く、ここから抜け出したかった。
でも「お母さん」の単語が出た途端何処かに行くのも怪しまれそうで、結局モジモジしながら尻込みするだけだった。
みんな向き合おうとしてるのに、私は10年かけてお母さんにやっと会っただけ。
十歩も、二十歩も先にいる家族に並走する難しさが突きつけられる。
「Aは？……どう思うの？」
姉さんの縋るような眼と、兄さんの刺すような眼が私を動けなくする。
お父さんのこと赦せない。なんて言えるもんか。
「わ、たし……」
「客招くならセンシティブなとこ見せんなや！！」
爆豪さんが怒鳴り込んで話を断ち切る。
「ああ！いけない、ごめんなさいつい…」
姉さんは慌てふためいていたけど、私はホッとした。
"言わないといけない"そのプレッシャーから解放されて、どさくさに紛れて立ち上がった。
「ごめん、私…帰らなきゃ。」
「待ってっ！僕……思うんだ。
君たち兄妹はきっと許せるように準備をしてるんじゃないかな。」
緑谷さんの目には強い光が宿っていた。
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くじら(プロフ) - めっちゃ好こです！更新頑張ってください！ (4月5日 8時) (
レス) @page30 id: 85541f6d4c (このIDを非表示/違反報告)
爪楊枝 - 読んでいて、すごく楽しいです！！ (3月29日 8時) (レス) @page30 id: ee4a2d718e (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - アップルパイさん» ありがとうございます！感情移入して読んでくださりとても嬉しいです！亀更新ですがこれからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 名無し47183号さん» ありがとうございます！亀更新で本当に申し訳ありません…！これからも応援していただけると幸いです！ (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 錫也さん» ありがとうございます！荼毘くんと逃避行していたら今頃…… ご愛読ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：餅つき団子 | 作成日時：2023年3月7日 17時
