十人十色 Part2

おそろい(OS) ページ35

@しやがれ



Side S



「おはようございまーす」



楽屋に入るとぱらぱら聞こえてくる声。入り時間ギリギリだったから、みんなメイクも終わっていて、各々がソファーとかで寛いでいた。



「遅かったね？」

「ごめんね、取材が押しちゃって……」



智くんの声に顔を向けずに返事する。かばんの整理をある程度したところで、ふと智くんを見た。

……珍しい柄の服。

黒と青のボーダーの服は智くんが着るには珍しい、結構派手な柄で、俺はその服をじっと眺めた。



「……翔くん、穴空きそう」

「……うあ、ごめん…！や、智くんがそんな派手なの、珍しいなぁって」



当の本人は、そうか？なんて呟いてから、モデルよろしくクルリと回ってみせた。

うん、かっこいいよ。

思わず頬っぺたが緩むと、智くんはそんな俺を見てニヤニヤした。

……前言撤回。ちょっとキモい。



「なによ」

「いや？翔くん見たらビックリすんだろうなって」



ニノと松潤もニヤニヤ…。相葉ちゃんに至ってはニヤニヤどころの騒ぎじゃないくらいニヤニヤニヤニヤ…。


薄気味悪い楽屋を抜けて、メイク室に移動。何故か智くんも同伴。

メイクしてもらって髪も弄ってもらって、智くんをまたちらりと見たら、楽しそうに俺を見て、一言言い放った。



「綺麗だよ」



それは女の子に言うセリフでしょ、なんて思うけど、嬉しいものは嬉しい。俺は智くんに褒められるとどんな言葉でも嬉しく感じてしまう、何とも都合のいい耳をしてるから、顔が熱くなりながらも素直に受け入れた。



「……ありがと」

「ふふ…でもね、もっとビックリすると思うよ」



それってどういう意味？と聞く前に視界に入った『それ』。

ハンガーラックの前で、スタイリストさんがニコニコ笑っていた。そして智くんも。



「櫻井さんはこの衣装です」



と渡されたのは黒と赤のボーダーシャツ。

……あれ、この色の配置と形、見たことあるよ？


と思って智くんを見るとニヤニヤ…。



「ね、ビックリしたでしょ？」

「………うん」



あなたのニヤニヤにビックリだよ、なんて言ったら不機嫌になって何も喋らなくなるからやめた。

にしても。こんな派手な柄でおそろいって…。スタイリストさん何考えてんだか…。

あの女子力を上げるって時も、智くんと靴下おそろいだったし、最近多くない？

しかもメンバーカラーって…。あの靴下の時は智くんが赤で俺が青でちょうど良かったけど…。


って！良くない！



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