君と青春の全部を。 【花巻貴大】

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Your side


結果、クラスは準優勝。

「俺らの準優勝に、乾杯ー！！」
体育委員の男の子が、コーラの入ったコップを上げると、それにつられるように歓声が上がった。

今日だけは特別って、先生が用意してくれていたらしい。


私は、窓からもう片づけが済まされたグラウンドを眺めていた。


すっごく、楽しかったなぁ。


「A、楽しかった？」

私の心を読んだかのように、隣に来た花巻くんが言う。

もう１度、５人で走った情景を思い浮かべながら


「うん、楽しかった」
と、答えた。

すると、花巻くんは
「そっか」
と、嬉しそうに笑う。


そんな時、
「あ、一ノ瀬さん！借り物競争超楽しそうだったね！」

そう声をかけられて、
「森田さん、大きな声で応援してくれてたよね。ありがとう」

少し緊張したけれど、きちんとお礼まで言えた。

すると、森田さんは固まる。

……ん？変なこと言ったかな……


次の瞬間、いきなり抱き着かれて
「良い子すぎるんだけど！一ノ瀬さん！」

少しドキドキしながら、もう１度

「ありがとう」
と、言う。


そして、
「あ、川口くん！」

今度は私から、
「川口くん、頑張れー！って、言ってくれたの、聞こえたよ。ありがとう」
声をかけることができた。

「え、何この子……俺もハグしていい？」
「いいわけないでしょ！」


いつの間にか、私の周りにはたくさんのクラスメイト。
そのことに気づいて、少し緊張したけれど、それよりも


楽しい。


これも、全部、花巻くんのおかげ。


彼にもお礼を言おうと、後ろを振り返ると、
さっきまでいた彼がいない。


笑っているみんなをよそに、ピンクが勝った髪の毛を探す。

すると、離れたロッカーにもたれて、こっちを見ていた。

目が合うと、


良かったな。

とでもいうように、目を細める彼。

でも、少し寂しそうなのは気のせい？


私も、「ありがとう」という気持ちを込めて、笑顔を返した。

けれど、花巻くんが隣に居ないのは

何だか、寂しかった。

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