君と青春の全部を。 【花巻貴大】

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Your side


１０月に入ったら、一気に文化祭ムード。

準備も本格的になった。

私たちの縁日は、やきそば・ポテト・わなげの３つに分かれることに。
私は、ポテトブース担当だ。

……花巻くんも、ね。


「あ、ガムテープ切れそう」
「私、取ってくるよ」

そう言って立ち上がると、ありがとーと言われる。

準備室に向かって、廊下へ出る。


「A、どこ行くの？」

声がした方を見ると、

「ガムテープ取りに、準備室」

隣に並んだのは、花巻くん。

私がそう言うと、
「じゃ、俺も」
と。


準備室は少し埃っぽく、たくさんの荷物があった。

「ガムテープだよな」
花巻くんはそう言って、高いところも探し出す。

私も、近くの段ボールを開けた。


……


５分ほど探したが、ガムテープは見つからない。

私は、棚の上の方を見つける。


……あそこにも、段ボール。

「……んっ」

私は少し背伸びをして、段ボールに手をかけた。


届いた。

段ボールをつかむことはできたものの、


「わっ」

予想していた以上に重くて、バランスを崩してしまった。


やば、こけちゃう……！

そう、思わず目を瞑った。


「A！」


でも、背中に痛みは伝わってこなかった。

目を、開けてみると、


「大丈夫か？」

焦った顔をした花巻くん。

そして、ようやく花巻くんに支えてもらっていることに気が付いた。


「あ、ありがと……」

私がそう言うと、花巻くんが手を離した。


床には段ボールが転がり、ガムテープが散らばっていた。

それを、２人で拾う。


すべて拾い終わったころ、

「A」


花巻くんが声をかけた。

「さっきみたいな時、もっと俺を頼れよ」

「迷惑なんて思わねぇし、Aが傷つく方が」


逸らしていた目と目が合い


「俺は、嫌なんだよ」

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