処遇 ページ20
「あ、兄上！兄上…、兄上…」
此処は、何処だ…。
「兄上、目が覚めて良かった！今、胡蝶様をお呼びしますね！」
パタパタと千寿郎が慌ただしく部屋から出ていった。胡蝶がいるならば此処は蝶屋敷か。Aは、どうしているだろう。記憶を辿れば、Aの体には猗窩座の腕が貫通していた。無事では済まないだろう…。その考えを打ち消すように視線を落とし頭を振る。
「煉獄さん、心配しましたよ。毎日のように来ていた千寿郎を十分、労ってあげて下さい。目が覚めて何よりです」
胡蝶は笑みを讃えながら喜ぶが、何故かAの話は口にしようとしない。
「胡蝶！まずは、あのような大怪我の治療に感謝する。それとAの件だが…」
Aの名を出した途端に胡蝶の顔が曇り、淡々と話し始めた。
「Aさんですが、煉獄さんにとって良かったことと悪いことがあります。まず良かったことですが、Aさんは生きています」
その言葉にほっと胸を撫で下ろすとともに、あれだけの傷を負いながら無事であった事実が現実とは思えない。少し声を落として胡蝶が話を続ける。
「Aさんの今の体の状態ですが、少しずつ鬼化しています。本人からの話によると、先の任務で上弦の弐と遭遇。血を注ぎ込まれ今に至るそうです。鬼化が進んでいる自覚はあるようですので、いずれは…」
胡蝶は言葉を飲み込む。自分の姉を殺し、友人をこのような姿にした鬼への憎悪から切れるほど唇を噛み締めている。
「Aさんの処遇に対する柱合会議は煉獄さんの意識が戻られるまで保留になっていました。恐らく近いうちに柱合会議が行われると思います。では」
そして、退室する際に「Aさんは女子入院室の個室にいらっしゃいますよ」と言い残した。
＊＊＊
一月程、寝ていたため、まだ足元は覚束ない。それでもAに会いたい一心で女子入院室へ向かう。
コンコン
部屋の戸を叩けば「はい」と愛しい声が聞こえる。
ガチャリ
扉を開けると、髪を横で一つに纏めたAが日の入らない部屋のベッドに腰掛けている。
「杏寿郎…」
泣き出しそうに表情を崩すAを抱きしめた。
「俺はAに命を救ってもらった。ありがとう」
俺の腕の中で肩を震わせるAの頬を両手で包み、顔を見つめる。その瞳は鬼などではなく幼い頃から変わらないAの瞳だ。
鬼などではないー
そう思った俺の希望はすぐに打ち砕かれた。
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猫巻(プロフ) - 桃平さん» 夢主じゃ、童磨殿には敵いませんからね…😣しばらく地味な展開になりそうです😢 (2021年12月8日 7時) (
レス) @page12 id: 1125bff897 (このIDを非表示/違反報告)
桃平(プロフ) - え⁉️😱夢主ちゃん⁉️よもやーーーッ (2021年12月7日 23時) (レス) @page12 id: 338e350c4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫巻 | 作成日時：2021年10月18日 1時
