無限列車2 ページ19
猗窩座の腕が俺の鳩尾を貫くより一瞬早く、何かが二人の間に割り込んできた。
「グフッ」
苦痛に顔を歪めながら血を吐き出した顔は、俺の心にずっと居座っている唯一無二のAだった。
Aの背中から腹を貫通して猗窩座の腕は俺の鳩尾をの皮膚を突き破る。良くて相討ち、その腕を拘束するためギリギリと筋肉に力を込める。
右から襲いかかる猗窩座の左手を自身の左手で掴み、猗窩座の頚へ渾身の力で右腕に握る刀を振るう。
「離さない！お前の頚を落とすまでは！」
後進を守るためなのか、Aの仇を撃つためなのか、もう自分にも分からず、ただ目の前の鬼を倒すことだけに体が動く。もうすぐ夜が明ける、此処には陽光が差す。
「オォォォォォー」
地面を割るようなお互いの声が響き合う。
ブチンッ
猗窩座は自らの腕を引き千切り林の中へ逃走する。竈門少年が泣きながら「煉獄さんの勝ちだ」と叫んでいる。俺にも、もう残された時間は少ないだろう。俺とAは鬼の腕で串刺しのようになってしまった。
「これで、もう離れないな。ずっと一緒だ…」
力のないAの体を自分の体に密着させるように抱きしめる。微かに聞こえる呼吸も間もなく止まってしまうだろう。そして俺に残されて時間も少ない。
「もうそんなに叫ぶんじゃない…最後に少し話をしよう」
・
・
・
後進に己の最期の言葉を託す。君達を守り、思いを託してAとともに逝けるのなら俺の人生は幸せだったと胸を張って言える。
竈門少年の向こうに母上が現れる。
「俺はちゃんとやれただろうか？やるべき事、果たすべき事を全うできましたか？」
「立派にできましたよ」
幼子に向けるような優しい微笑みと口調に、やっと心から笑える…
「Aも素敵な女性に成長しましたね。此方に来るには少し早すぎます。母はいつも側におりますよ」
そう言い残し、母上はまた光の粒となって消えた。俺はAを抱きしめたまま、意識を手放した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 134人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
猫巻(プロフ) - 桃平さん» 夢主じゃ、童磨殿には敵いませんからね…😣しばらく地味な展開になりそうです😢 (2021年12月8日 7時) (
レス) @page12 id: 1125bff897 (このIDを非表示/違反報告)
桃平(プロフ) - え⁉️😱夢主ちゃん⁉️よもやーーーッ (2021年12月7日 23時) (レス) @page12 id: 338e350c4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫巻 | 作成日時：2021年10月18日 1時
