［完］花束のかわりに一本の蘭を-part 2-【灰谷蘭】

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『蘭、別れよ』



熱は段々と引いていき、週明けから入院が決まったその日。蘭はいつものように花束を持って私のところを訪ねてくれた。

けど、蘭は冒頭の私の一言に対して「は？」と怒気を含めた声で返事をした。



「ふざけんなよ」



蘭は思わず不良の血が騒いだのか、本人は良くないとはわかっているものの、口が悪くなっている。

私の安易な一言に、あまりにも蘭は憤りを感じたのは目に見えてわかった。



『…だって、再発だよ？またこれから治療が始まってみずほらしい姿になるの。そんなの嫌』



なんで、愛する人にそんな姿を見せなくてはいけないのか_____私には甚だ遺憾だった。



『それに…ずっともう考えてた』



保健室に運ばれた日「またやってしまったのか」と私は呆れた。また、蘭に迷惑をかけた。

それに、やっぱり彼に元気な姿を見せる時間があまりにも短すぎる。病弱で、まともに外へ出かけるのもままならない。その度に蘭に心配をかける。楽しい思いをさせてあげられない。お見舞いにも毎日のように“来させてしまっている”。

それが、私にはもう嫌だった。



















『私といても、未来なんて見えないよ』



















そう冷たい一言を放った。



















「何1人で決めつけてんだよ」



「訳わかんねぇ」「ありえねぇ」とブツブツ呟く蘭。



「お前は未来が見えないから俺と別れんの？じゃあ、世間のカップルはどうなんだよ、未来が見えてんのか？結婚してガキ産んで、それが約束されてんのか？」


『…そうじゃなくて』


「そうだろ」



穏やかな彼はいなくて、珍しく饒舌。私の言葉をすぐにシャットダウンして、私を睨みつける。



『(…私は、いつ消えるかわからない)』



わかってる。

そんなこと言ったら、蘭だっていつ消えるかわからない存在だ。だって明日、事故に遭ってコロッとあの世に行くかもしれないから。



「帰る」



















でも、そんな確率、自分よりは、低い。



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