74話 ページ27
リビングダイニングの扉をがちゃりと開け、父親が入ってくる。
「お母さん、少し経ったら来るそうだ」
「はい、ありがとうございます」
「……それにしても、少し見ない間にAもリドルも大きくなったね」
そう感慨深げに言う父親の体躯はしかし、170cmを越えていて。
母親の身長も女性の平均より少し高いほどだったが、それにしては二人とも小柄であることが共通の悩みだった。
「お父様と同じくらいまでは伸びたいです」
「ふふ、リドルはあともう少し伸びるだろうけれど、私はもう止まっているからな……」
「大丈夫さ。Aもリドルも……たとえ身長が伸びなかったとしても、人の価値の一番重要な部分がそこではないことを、知っているだろう？」
父親に頭を撫でられ驚いたような表情をしてから、目元を紅く染めるリドルとAは、また同時に小さく頷く。
「Aも、あちらの家では調子が良いんだろう？学校は楽しくやれているかい」
「はっ……はい。……良くしていただいていますし、幸運なことに友人にも恵まれた環境で……それにリドルが来てくれて、嬉しかったです」
「……」
父親は、何故か目を伏せて。
「……ごめんね、A」
「……え？な……何が」
「……本当に、ごめん」
そう言ってAの頭を、淡いほほえみを浮かべながら撫で続ける父親に。
「……は、」
Aは、微笑みを返そうとして。
──返そうとしたのを、ちゃんとリドルは見ていた。
しかし、微笑みを返すには歯を強く食い縛りすぎていたのも見ていた。
「……ふざけん、」
微笑もうとして、失敗して。その歪な表情のまま、ぼたぼたと大粒の涙を唐突に流しはじめたところも見ていた。
「……」
しかし、Aは自嘲の笑みと共に腕を上げて目元を拭って。溜め息を吐いて。
「……もう、いいですよ」
そう言って、今度はちゃんと微笑みを父親へ向けるものだから。
リドルは、Aの手を握った。
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功徳(プロフ) - オパールさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました🥰他の作品でもお待ちしてます🥰 (11月10日 20時) (
レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
オパール - 2人ともかっわいい…。溶ける！素晴らしい作品を作ってくれて、本当にありがとうございますっ！ (11月10日 20時) (レス) @page47 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - Shiroさん» ｳﾜｰありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいすぎる……😚😚😚好き…… (2023年1月14日 23時) (レス) @page17 id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
Shiro(プロフ) - 初めまして、コメント失礼いたします。素晴らしい作品をありがとうございました！！読み進めていくうちに心が抉られ揺さぶられ、感動の連続でした。心情を細やかに書き出すことのできる語彙力・文章力、私も見習いたいです。本当に素敵な作品でした！✨ (2023年1月4日 2時) (レス) @page47 id: 033ac6eba0 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - チョコドーナツさん» お読みいただきありがとうございましたすぎる……！！！🥰🥰🥰タイトル回収のとこ盛り上がると思ってたのでめちゃ嬉しいです🥰🥰🥰ﾔｯﾀｰ‼️ (2022年8月1日 12時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)
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