71話 ページ24
「……立ってりゃ平気なのなんなんだろうなぁ」
「……」
「……まああんま視線っつーか……注目集まりすぎると立ってても喉通らねえけど、それは普通だろ」
「……一人でだったら座って食べられるの？」
「日による。いけるときゃ全然普通にいけるし無理な時は一人でも立って食ってる」
そう言いながら机に手を突きもう片方の手でピザを頬張っているAの様子は、もう見慣れたものだ。
「……キミ、かわいいよね」
「お？え……ん？ん……ああ……？」
「いや……その……」
リドルは何か言い訳をするように手を胸の前で動かして。
そのまま膝に置いた。
「……ごめん、なんでもない」
「……いや、いいよ。かわいいのは知ってる」
「そう……いや、あの、立って食べてても格好がついているからあまりお行儀悪く感じないというか……そういうことが言いたかったんだけど」
「ほー……？見慣れちまっただけな気もするが」
「……」
こいつは最近やけに湿度が高いな、仕方のない側面もあるが──とAは考える。人間関係にも換気が必須だというのがAの持論だ。ローズハート家に風がなかったせいで、自らの母親はこもった悪い空気を吸い続けたせいでああなってしまったのだと。
リドルはAの少々困ったような表情を何に勘違いしたのか、励ますようにはにかんで肩を竦める。
「……行って、すぐ帰ってこようね、A」
先日、Aとリドルは母親へ一時的な帰宅の許可をとった。母親はAの帰宅へ予想通り難色を示したが、帰宅の際は父親が同席すると言うと渋々頷いたらしい。
「別にいいぜ、最後だと思って一生分嫌な思いしてきたって」
「……お父様にお会いするの、お久し振りだな」
そう言うリドルは、少しだけ楽しみだといった表情をしており。
Aは自らの父と最後に会った時──あの時──の、恐怖を悟られないように噛み潰した。
それを握り潰そうとした時──あの夜はいつも仲が悪かった父親と母親が、Aという共通の敵を見付けて、普段していなかったからとでも言わんばかりに労りあっていたことを、いつか自分で消していたその記憶がまた呼び起こされて。
その記憶を自分が消していた事実も含めて──頑張って咀嚼し、噛み潰す。
結局そうするしかないのだから。
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功徳(プロフ) - オパールさん» 最後まで読んでいただきありがとうございました🥰他の作品でもお待ちしてます🥰 (11月10日 20時) (
レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
オパール - 2人ともかっわいい…。溶ける！素晴らしい作品を作ってくれて、本当にありがとうございますっ！ (11月10日 20時) (レス) @page47 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - Shiroさん» ｳﾜｰありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいすぎる……😚😚😚好き…… (2023年1月14日 23時) (レス) @page17 id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
Shiro(プロフ) - 初めまして、コメント失礼いたします。素晴らしい作品をありがとうございました！！読み進めていくうちに心が抉られ揺さぶられ、感動の連続でした。心情を細やかに書き出すことのできる語彙力・文章力、私も見習いたいです。本当に素敵な作品でした！✨ (2023年1月4日 2時) (レス) @page47 id: 033ac6eba0 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - チョコドーナツさん» お読みいただきありがとうございましたすぎる……！！！🥰🥰🥰タイトル回収のとこ盛り上がると思ってたのでめちゃ嬉しいです🥰🥰🥰ﾔｯﾀｰ‼️ (2022年8月1日 12時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)
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