40話 まだ追い続けて ページ44
水面下で、いつの間に話は進んでいたらしかった。
蒼真「A、僕東京に行こうと思う」
飛雄と私が蒼真君に英語を教えて貰っていた時に、ふと蒼真君が零した一言。
『え?』
蒼真君と飛雄のお母さんは、私達の知らない間に話し合いを重ね、同居するのは決定事項かのように振舞っている。
私は流されている気すらする。
蒼真「……もう一回絵の勉強しようと思うんだ。絵画教室の講師をして、収入も安定させる」
そうだ。養子縁組の話は、私の母親と蒼真君の不安定な収入を見かねて、飛雄の母さんが提案してくれたのだった。
蒼真君も養子縁組を組むよう言われたけれど、断ったらしく、自立して画家になると宣言した。
蒼真君は夢を語るようになった。
未来を生きることを当たり前にしている。それこそ当たり前かもしれないけど、前は無かったことだったから、嬉しくてたまらない。
(でも私は?)
(私は、将来どうなりたいの?)
蒼真「来週引っ越すことにしたんだ。……だからAは、飛雄の家に住んで?」
影山「はあ?!」
今まで英語の長文に項垂れていた飛雄が叫んだ。
でも叫びたくもなる。私は絶句したけど。
『急過ぎない?』
何とか反論すると、蒼真君が私の顔を覗き込んだ。
蒼真「開き直るけど、僕がすることは大抵急だよ。それに、いずれ結婚するんだし大した問題じゃないよ」
蒼真君はにこりと笑った。
私は飛雄と目が合って、視線が絡んで急に恥ずかしくなった。
『蒼真君もそんなことを言い出すんだ……』
養子縁組と同居の条件
【将来結婚すること】
翌日に飛雄の母さんからも念を押され、私はついたじろいでしまった。飛雄はきっと母親似だ。
頑固で、優しいけど、ちょっと怖い。
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私の作品なんぞ待っていた人は居ないかもしれませんが、大変長らくお待たせいたしました。お久しぶりです。
題名の「まだ追い続けて」は、蒼真君の心情で、まだAの絵を描きたいと思っている、という意味を込めたつもりです。
それにしてもヒロインの家が無くなる夢小説ってどうなのよ。
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鈴松しおん@受験により低浮上(プロフ) - ぼんじんさん» 私が調べた方では本だったので誤差かもしれないです、申し訳ないです…こちらこそ返信ありがとうございます。 (2020年1月7日 15時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - 鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○さん» 幼馴染の定義について調べましたが、明確な年齢はヒットしませんでした。幼馴染と言える年齢については匙加減なのでは?とは言え、確かに小2からは微妙だったかもしれませんね。ご指摘ありがとうございます。謝罪なんてとんでもない!細かく見てくださって嬉しいです。 (2020年1月7日 11時) (レス) id: 009ada25a1 (このIDを非表示/違反報告)
鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○(プロフ) - ごめんなさい、細かいようですが小2では幼馴染とは言いませんよ。最低でも小一からです。幼馴染の定義は2〜6歳までの時に親しくなった人というものです。 (2019年11月21日 13時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - どうもこんにちは。作者のぼんじんです。完結編の方に、先程お話を更新しました、というお知らせだけさせていただきます。見て頂けると幸いです。 (2019年7月15日 14時) (レス) id: 17a047e34b (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - あ る ひさん» ありがとうございます!文章は、自分なりに頑張って書いているので、褒めて頂けるのはすごく嬉しいです!精進します!! (2018年12月29日 1時) (レス) id: 4504acb9f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぼんじん | 作成日時:2018年6月8日 21時