36話 結婚しろ ページ39
影山side
Aは俺の部屋で、神妙にバリボーを読んでいた。でも、内容が入っていないようで、同じページを何度も往復している。
俺はAからバリボーを取り上げた。
影山「養子縁組、組めよ」
駄目押しだ。
Aはさっき母さんに、『考えさせて下さい』と答えた。
『でも、迷惑がかかるし……』
Aが目を伏せる。
影山「そんなの承知で提案してんだろ、ボケ。いいから組め」
Aは言葉を詰まらせてから、拗ねたように呟く。
『だって飛雄の母さん、絶対、結婚させようとしてたでしょ……』
沈黙が流れる。
Aはしばらくしてから、『やっぱり今のなし』と言って、バリボーを俺の手から奪った。
Aの耳が赤い。
俺は数分前のやりとりを思い出す。
影山「ようしえんぐみ?」
首を傾げると、母さんが簡単に説明してくれた。
「法律上で家族になることね。……つまり、婿養子の嫁バージョン」
その言葉にAは咳き込む。むせたようだ。俺が背中をさすると、Aは落ち着いてから、
『こ、婚姻届を出せばの話ですよね……?』
と、母さんに反論した。
婿養子。一般的には、遺産の相続とか、後継ぎとかの関係で組むらしい。
「そうだけど、結婚するでしょう?」
母さんはそう言って意味ありげに微笑み、Aはまた咳き込んだ。結婚するにはあと2年待たなくちゃいけない。
…………。
「イケメンセッター及川徹」の文字を何度も追うAの視線を見つめてから、俺はまたバリボーを取り上げる。
『あ、返して……』
バリボーに伸ばしたAの腕を引き寄せた。
まだ頰を赤らめている少女を抱きしめる。
『と、飛雄?』
バリボーはその辺に投げ捨てる。背中に手を回すと、Aは恥ずかしそうに俺の肩に顔をうずめた。
影山「俺と結婚するのは、不満なのかよ」
ぼそっと呟いてみると、Aは俺の耳元で声を上ずらせる。
『つ、付き合ってるのかも曖昧なのに、話が急だよ……』
影山「じゃあ付き合おう。好きだA」
Aを更に抱き寄せる。
『え?』
影山「……俺の彼氏になれ」
そしてあわよくば結婚しろ。
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影山君が告白した!(なお3回目)
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鈴松しおん@受験により低浮上(プロフ) - ぼんじんさん» 私が調べた方では本だったので誤差かもしれないです、申し訳ないです…こちらこそ返信ありがとうございます。 (2020年1月7日 15時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - 鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○さん» 幼馴染の定義について調べましたが、明確な年齢はヒットしませんでした。幼馴染と言える年齢については匙加減なのでは?とは言え、確かに小2からは微妙だったかもしれませんね。ご指摘ありがとうございます。謝罪なんてとんでもない!細かく見てくださって嬉しいです。 (2020年1月7日 11時) (レス) id: 009ada25a1 (このIDを非表示/違反報告)
鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○(プロフ) - ごめんなさい、細かいようですが小2では幼馴染とは言いませんよ。最低でも小一からです。幼馴染の定義は2〜6歳までの時に親しくなった人というものです。 (2019年11月21日 13時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - どうもこんにちは。作者のぼんじんです。完結編の方に、先程お話を更新しました、というお知らせだけさせていただきます。見て頂けると幸いです。 (2019年7月15日 14時) (レス) id: 17a047e34b (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - あ る ひさん» ありがとうございます!文章は、自分なりに頑張って書いているので、褒めて頂けるのはすごく嬉しいです!精進します!! (2018年12月29日 1時) (レス) id: 4504acb9f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぼんじん | 作成日時:2018年6月8日 21時