特効薬は君じゃない【ハイキュー！！】影山飛雄

33話 逃げたいの？ ページ35

影山side




Aは俺のことを好きだと言った。
多分その「好き」は、俺と一緒の「好き」だ。





影山「お、俺も、好き……」



『……！本当？』









ああ。


6年前に戻ったみたいだ。
Aはあの時みたいな笑顔を浮かべる。

バレーボールに夢中になっていた少女を思い出す。



そうだ。Aは、こんな顔をして笑っていた。
滅多にしないその表情が、俺は堪らなく好きだった。




鼻の奥がツンとする。

やばい、泣きそうだ。









Aside



頰に飛雄の手が触れる。

指が熱い。いや、私の頰が熱い？




多分、どっちも熱い。




『飛雄……』









蒼真「A！！」


肩が跳ねる。
背後から突然声が聞こえたのだ。


影山「うわあっ！』

『そ、蒼真君？』


蒼真君も外出していたらしい。蒼真君が私達に近づいて、飛雄の指がそっと離れた。
涼しい風が頰を掠める。


蒼真「飛雄も一緒なんだ」


蒼真君は優しそうに微笑んだ。


影山「こ、こんばんは」

蒼真「……」

蒼真君は飛雄の挨拶は返さずに、私の腕を引く。





『？！』



蒼真「…………………………家、売ったから」









？






蒼真「僕の知り合いで家を探している人に、譲ることにした」









『え？』


突然すぎる。

それに私、まだイギリスに行くなんて言ってない。





飛雄は首を傾げる。


影山「？それってどういう……」

蒼真「そのままだよ」


蒼真君はいつもみたいに笑みを浮かべながら、冷たい声で飛雄に言った。



蒼真「来月までに引っ越す」






蒼真君が私の腕を強く掴んだ。



私は、その腕を見つめる。
見つめながら、思う。









また、逃げるの？



殴られても黙っていた様に、また、大人に従うの？



父に縛られたまま、一生過ごすの？





母から、逃げるの？







私は、逃げたいの？









……逃げたくないの？









こんな夜に近所迷惑だ、とか、考える余裕は無かった。





『私、イギリスなんて絶っ対行かない！！！』







私の叫びは夜空に舞う。


蒼真君は顔を歪めた。









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アニメ4期ーーー！！！(…って22日に言いたかったけど書き終わらなかった)

影山の誕生日は個人的に祝いました！
おめでとう！

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