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20話 麻痺 ページ22

父が好きだった。
母が好きだった。
でも、父も母も、私を好きじゃなかったのかもしれない。
母は、何故か私を殴った。

「なんであんたなんか!」

私を殴る時母は、よくわからないことを言っていた。母は、私を殴る癖に兄は殴らなかった。
父はあまり家に帰ってこないし、兄は、見て見ぬ振りをしていたのか、大学受験が忙しかったのか、私には構わなかった。

悲しくは無かった。

母が好きだったからだ。無条件に、ごく自然に受け入れることができた。父の前では良い顔をする母のお陰で、バレーはできているし、まあいいや、と思っていた。

それが、小学2年生の時。

この頃から、自分の感情がわからなくなっていった。母に殴られながらもまだ、彼女に抱きつける自信があった。でも、喜べる自信はなかった。
見えない場所、例えばお腹を殴られても、どこか現実味が無かった。痛くなかった。






そんなある日だった。

『……』

飛雄がいた。体育館だった。まだまだ初心者で、私の方が断然上手かった。なのに、何故か負けたような気がした。飛雄のプレーを見ると、いつも悔しくなった。

楽しそうに、孤独になっていたからだ。
いや、孤独ではなくて、自分の世界に入るというか、そんな感じ。

『……』

俄然、仲良くなりたい。でも出来れば、今みたいな、私の心の内は秘密にして。ごく自然に、私は普通の女の子のように、飛雄の前では振る舞いたい。

飛雄と会えば会うほど、話せば話すほど、幸せだった。
バレーをしている時と同じくらい、自分の感情がはっきりとした。
幸せな飛雄を見るのが幸せだった。私と仲良くしてくれる飛雄が本当に大好きで、いつの日か当たり前になった。

いつから、勘違いをしていたのだろう。



飛雄は、私といるから幸せって、いつからそんな図々しいこと、思っていたのだろう。







『……はあ』

息を吐く。都合の良い流れにしてはいけなかったのだ。「もう一回」なんて、言うべきじゃなかった。ベッドに身を投げて、もう一度息を吐いた。

飛雄に近づくほど、自分の感情が浮き彫りになる。不安定になる。





バレーをしたいかと聞かれたら、わからないと答える。



母と父が好きかと聞かれたら、わからないと答える。



飛雄が好きかと聞かれたら。









私は愛してると返すだろう。

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設定タグ:ハイキュー , 影山飛雄   
作品ジャンル:恋愛
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鈴松しおん@受験により低浮上(プロフ) - ぼんじんさん» 私が調べた方では本だったので誤差かもしれないです、申し訳ないです…こちらこそ返信ありがとうございます。 (2020年1月7日 15時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - 鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○さん» 幼馴染の定義について調べましたが、明確な年齢はヒットしませんでした。幼馴染と言える年齢については匙加減なのでは?とは言え、確かに小2からは微妙だったかもしれませんね。ご指摘ありがとうございます。謝罪なんてとんでもない!細かく見てくださって嬉しいです。 (2020年1月7日 11時) (レス) id: 009ada25a1 (このIDを非表示/違反報告)
鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○(プロフ) - ごめんなさい、細かいようですが小2では幼馴染とは言いませんよ。最低でも小一からです。幼馴染の定義は2〜6歳までの時に親しくなった人というものです。 (2019年11月21日 13時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - どうもこんにちは。作者のぼんじんです。完結編の方に、先程お話を更新しました、というお知らせだけさせていただきます。見て頂けると幸いです。 (2019年7月15日 14時) (レス) id: 17a047e34b (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - あ る ひさん» ありがとうございます!文章は、自分なりに頑張って書いているので、褒めて頂けるのはすごく嬉しいです!精進します!! (2018年12月29日 1時) (レス) id: 4504acb9f2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぼんじん | 作成日時:2018年6月8日 21時

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