プロローグ ページ1
向日葵が、太陽を向いて咲いていた。父さんは、花を見て少し微笑んだ。私も、綺麗な花だと思った。
賞状を左手に握り、右手は、父さんの手のひ
らを掴んでいた。今日の大会は準優勝だったから、まあ、それなりには嬉しい。
「次は、母さん来てくれるかな」
小学4年生。バレーを始めて4年目。今まで、母さんが大会の応援に来てくれたことは1度もない。別に来てくれなくてもよかった。ただ、父さんとの会話を途切れさせたくなかっただけだ。
「……どうだろうね」
父さんは、力が抜けたように笑った。最近、父さんはよくそういう顔をする。元気がないような、何かに疲れているような顔だ。
「僕のせいかもしれない」
そんなはずはなかった。仕事の都合だと聞いている。
「どういうこと?」
「……ごめん」
謝られる筋合いは見当たらない。
「……ごめん。A」
「父さん?」
父さんが、今日は変だ。いつもと違う。
父さんは、不意に歩みを止めた。手を繋いでいた、私の足も止まった。
赤い信号が、瞳に映り込む。
嫌な予感がした。
「……A。ごめん。疲れた」
え?
どういう意味?
とか、聞く暇なんてなかった。
手が離れる。父さんが、トラックに向かって走る。一瞬の出来事だった。
鈍い、音が響く。
「…………………は?」
目を見開く。
赤。
が、映る。
頰に、生温い液体が飛び散った。
父さんの、血だと、気づいた。
目の前のトラックが、凹んでいる。電柱に、ぶつかっている。
「あ、ああ……あ」
小学4年生には、刺激が強すぎた。私は歩道に頽れる。
さっきまで、普通に、手を、繋いでたよね?さっきまで、会話して……。
なんだ、あれ。
少し離れたところに、赤黒い物体。見慣れた靴も転がっていた。
私が、強く手を握っていれば。もっと早く、異変に気づいていれば。私が、止められた。父さんが動かなくなるのを、防げた。
私が。
私が。
私が。
殺した?
「ああああああああああああああああ!!!」
間に合わない。もう、間に合わない。父さんが、動かない。
「ああああああああああああああああ!!!」
酷い匂いだ。こんなの、知らない。知らない!
何で、私の前で?
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長文過ぎてほんとすいません!1話からは、サクサク進むと思います!こういうの苦手だった方、すいません!(一応控えめな表現にはしたつもりですが……)
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鈴松しおん@受験により低浮上(プロフ) - ぼんじんさん» 私が調べた方では本だったので誤差かもしれないです、申し訳ないです…こちらこそ返信ありがとうございます。 (2020年1月7日 15時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - 鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○さん» 幼馴染の定義について調べましたが、明確な年齢はヒットしませんでした。幼馴染と言える年齢については匙加減なのでは?とは言え、確かに小2からは微妙だったかもしれませんね。ご指摘ありがとうございます。謝罪なんてとんでもない!細かく見てくださって嬉しいです。 (2020年1月7日 11時) (レス) id: 009ada25a1 (このIDを非表示/違反報告)
鈴松しおん@誤字り姫@受験fuc○(プロフ) - ごめんなさい、細かいようですが小2では幼馴染とは言いませんよ。最低でも小一からです。幼馴染の定義は2〜6歳までの時に親しくなった人というものです。 (2019年11月21日 13時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - どうもこんにちは。作者のぼんじんです。完結編の方に、先程お話を更新しました、というお知らせだけさせていただきます。見て頂けると幸いです。 (2019年7月15日 14時) (レス) id: 17a047e34b (このIDを非表示/違反報告)
ぼんじん - あ る ひさん» ありがとうございます!文章は、自分なりに頑張って書いているので、褒めて頂けるのはすごく嬉しいです!精進します!! (2018年12月29日 1時) (レス) id: 4504acb9f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぼんじん | 作成日時:2018年6月8日 21時