episode83 あの月の名前 ページ39
「はぁ……」
月が明るかった。
月明かりに照らされて、私たちは夜の海を大いに楽しむ。
「楽しめるわけねーっつの」
「ですよねー」
弘のつぶやきに大きく頷く。
と云っても、私たち2人も春秋たち同様、裸足になって波打ち際にいるわけだから、すでに同罪だ。
「おい。足首より奥ははいんなよ」
弘が何度目かの注意を促す。
そのたびに春秋は「はーい」と元気良く返事をした。
「ほら、2人も遊ぼうよ！」
「そうそう。いまさら遅いから。もうみんな同じ穴の狢だから」
「せっかくですし……ね」
戻って来い遥!!
なんとなく、弘と心が通じ合った気がするぞ。
「まじでバレる前に帰んねえとやべえぞ」
「ほんとだな。点呼何時だっけ」
「ちょっとお二人さん！ こっち来てみなよ!!」
騒がしい春秋が私たちの腕を引く。
海は私の足首を超えて、ふくらはぎまで来た。
ショートパンツに海水がかかる。
「なんだよ」
「ほら！」
春秋が海の向こうを指さした。
暗い暗い海。これを闇というのだろうか。水平線が空の黒にのみこまれている。
その下。ざわざわと波の音が耳に入った。心地良い。
春秋が指さした向こうには、月があった。なんていうのか忘れた、いつか理科で習った、三日月だけどそんな名前じゃない月。三日月よりも少し大きくて、半月よりも小さい。
そんな名前も忘れてしまった中途半端な大きさの月が、広い広い海に昇る。
「すごくねぇ？」
春秋が得意そうに私たちを振り返る。
「ほんとですね。きれい」
遥が小さくつぶやいた。
「……暗いな」
「こういうの、飲み込まれそうっつうのかもな」
弘の云い方が何だか楽しそうで笑みが漏れる。
優真のそれを感じ取ったのか、隣でくすくすと笑う。
「な！ 来てよかったろ？」
得意げな春秋がうっとおしくて、私は頭を軽くはたく。
「痛った……！ っ、このっ!!!」
「うわっ、お前、風呂入ったんだぞ！」
春秋が足を蹴り上げて水をかける。
それは私、隣にいた弘にもかかったようで。
「てめえ……」
「うわああ!! 弘が怒こったあ！」
「ちょ、弘……うおっ！」
「って、A……引っ張らない……でっ!?」
「っと、わあああっ」
弘に押された私が態勢を崩し、つい優真の腕をつかむ。その優真もつい遥をつかんでしまったようで。
3人は、頭から海水に浸かった。
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葉奈(プロフ) - 萌菜さん» いつもいつも本当にありがとうございます!!すっごい嬉しいです！がんばります!!! (2013年11月17日 13時) (
レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
萌菜(プロフ) - 私やっぱり葉奈さんのファンです！１,２と一気に読みましたが、最っ高に面白かったです！！ (2013年11月17日 10時) (レス) id: c538a33189 (このIDを非表示/違反報告)
うちわ(プロフ) - 葉奈さん» おう！ (2013年11月13日 19時) (レス) id: 9546e088aa (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - うちわさん» ありがとー！がんばるね!!これからも読んでやってくれ(( (2013年11月13日 19時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
うちわ(プロフ) - 葉奈さん» そう？私は葉奈を応援してるからね！誰がなんといおうと←更新楽しみに待ってるね！ (2013年11月13日 19時) (レス) id: 9546e088aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/
作成日時：2013年9月2日 17時
