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episode66  風邪の子 ページ20

その知らせを受けた時、俺はもちろん驚いたし、みんなもすごく驚いていた。

そして世界が終わるんじゃないかと心配をしたり。



「寒い」

そう云って、春秋が腕をさする。
俺は女子にもらったクッキーをつまみながら携帯をいじった。

11月になるとさすがに屋上は寒いので、俺たちは屋上へとつながる扉前で昼休みを過ごす。

今日は静かだ。
何でだろうと思い、Aが休みなんだと気が付いた。


「Aちゃん大丈夫でしょうか」

遥が体育座りで心配そうな顔をしていた。

ホームルームが終わって、俺たちはなんとなく弘たちのクラスへ行った。
どこのクラスも同じで、教室の引き戸をしめ切って、みんな中で固まって過ごしている。

俺たちは読書をする弘の姿を見つけると、それを邪魔しに走り出す。
弘はもちろん俺たちに気が付いて避けられた。

そこで遥が気づく。


「あれ?今日Aちゃんは?」

遥の言葉に、俺と春秋にいじられていた弘が「あー」と困惑した声。

「なに?また遅刻?」

俺が聞くと、弘が「いや」と否定してきた。

「あいつ、欠席」


もちろん呆然として、俺はもう一度弘に向かって同じことを聞く。
「遅刻?」と。

「だから風邪で休み」

再度弘が言った言葉を、俺はしばらく理解できなかった。



1時間目の後に出したメールは、3時間目の終わりに返信されてきた。

『ただの風邪。心配するくらいなら帰り見舞い用にプリン買ってきてプリン』

その内容に、俺は周りに気が付かれないように忍び笑った。





「ねえ!帰りAのお見舞い行こうぜお見舞い!」

唐突に春秋が声を上げた。
その声に耳をふさぎながら、俺はさっきのメールを見せる。


「A風邪ひいてるからってわがままだなー」

「プリン買って行ってあげましょうよ」

「えー。じゃあ割り勘ね」

「俺は行かねえからな」

「弘ひどい!幼馴染が大変な時に!」

「ただの風邪だろ。あいつなら半日で治る」

「じゃあメールしてみよう!」

春秋は携帯を取り出し、何を書いたのかしばらく打ち込んだ後、「送信っ!」と言って携帯を宙に突き上げた。

「何書いたの?」

「見る?」

春秋がにやにやしながらこちらを見てくる。
かかわったら俺までAに怒られそうだ。


「やっぱいい」

「えー!なんで!見て見て!」

結局見てもらいたかったんじゃん。

そのツッコミを春秋が目の前に出してきた携帯によって飲み込む。

仕方ないと腹をくくり、俺は画面をのぞいた。

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設定タグ:葉奈 , 日常 , 高校生   
作品ジャンル:ギャグ, オリジナル作品
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葉奈(プロフ) - 萌菜さん» いつもいつも本当にありがとうございます!!すっごい嬉しいです!がんばります!!! (2013年11月17日 13時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
萌菜(プロフ) - 私やっぱり葉奈さんのファンです!1,2と一気に読みましたが、最っ高に面白かったです!! (2013年11月17日 10時) (レス) id: c538a33189 (このIDを非表示/違反報告)
うちわ(プロフ) - 葉奈さん» おう! (2013年11月13日 19時) (レス) id: 9546e088aa (このIDを非表示/違反報告)
葉奈(プロフ) - うちわさん» ありがとー!がんばるね!!これからも読んでやってくれ(( (2013年11月13日 19時) (レス) id: 884e662617 (このIDを非表示/違反報告)
うちわ(プロフ) - 葉奈さん» そう?私は葉奈を応援してるからね!誰がなんといおうと←更新楽しみに待ってるね! (2013年11月13日 19時) (レス) id: 9546e088aa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葉奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hana1/  
作成日時:2013年9月2日 17時

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