僕等２ 【オリジナル】

episode61　　とばっちり ページ15

「Aいいなー」


なんて高い声がどこからか聞こえる。

良くない良くない。どこがいいんですかこんなグータラと頭おかしい男。


「俺水族館行きたい！」

「2日目みんなで行くだろ」

春秋の勝手に始めた意見交換会に弘がつっこむ。

「じゃあ海いこう！」

「ざっくり過ぎんだろうが」

私は自分の班と並行しながらツッコミを入れた。

「海で叫ぶんだよ！」

「春秋の青春は昭和くらいで止まってるの？」

「えー！じゃあちんすこう食べたい！」

「それお土産だから」

「ゆば！」

「それは沖縄じゃなくて……ゆばってどこ名産地？」

「A知らないのにつっこもうとしたの？それじゃあツッコミ番長失格だね」

「いやそんな称号いらねえし。つかどこ？」

「日光とか京都じゃね？」

「さすが弘！」
「こういう時に役に立つ」

「お前ら次の期末知らねえからな。勝手に泣いてろよ？」


私と春秋は全力で謝った後、クラスの視線を浴びながら静かに着席した。


「あーもー！じゃあどこ行くんだよ！」


「とりあえず、春秋は沖縄に関しての知識をつけてから来ようか。話はそれからだ」

「A、今なんでちょっとかっこよく云ったの、ねえ、なんで？どうして？」

「うるせえよ優真！ちょっと黙っててくんない!?」

「やだ」

「即答!?」

「ねえ自由行動！」

「みんな声大きすぎますよ。先生に見つかっちゃう」

「ほっとけ遥。こいつら静かにさせんのは至難の業だから」

「おい弘！今のは聞き捨てならんなんな！」

「そうだそうだ！」

「なんだがり勉メガネの癖に！」

「今それ関係ねーだろ！」



「お前らの話題が今一番関係ないけどな」



「……」

聞き覚えのある声だ。

みんなは急に静かになり、ゆっくりと声の主に視線を向ける。
いや、優真はなぜか知らん顔。


「せ、先生じゃないっすかー」


「先生じゃないっすかーじゃない！お前らは本当にいつもいつも……！」

「すいませんでした！」
「失礼しました！」
「ごめんなさい！」


3人は脱兎のごとくその場から逃げ出す。

で、残された私と弘……。


「ちょっと弘くん!?」


すでにいなかった。

「名細。真面目にやなないと評定下げるぞ」

「職権乱用だ！」

「他クラスの男子連れ込むな！」

「いや勝手に来られたんですけど!?」

「問答無用。掃除当番決定！……速見」

急に名前を呼ばれた弘は、肩をびくりと震わせる。

「あの3人呼んどけな」


私はため息をついた後、弘と同じタイミングで返事をした。

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