救済17 ページ18
横たわった前任は少女の姿を見ると怯えたように悲鳴をあげて縮こまった。
それを見た刀剣男士達からはクスクスと笑い声が響く。
紫が男に近づき傍にしゃがむと楽しそうに言った。
｢……良かった。まだ生きていらしたのね？｣
そう言って彼女もまた小さく笑う。
明石国行が少女の隣に立ち冷めた瞳で前任を見る。
前任は恐怖で震える声で叫んだ。
｢き、貴様！！俺にこんな事をして！！ゆ、許されると、許されると思っているのか！？｣
みっともなくガタガタと震え言葉を噛みながら泣き叫ぶ男は無様である。
少女は愛らしく首を傾げると白魚のような手を頬に当て訪ねた。
｢状況がお分かりではないのかしら？｣
その言葉に前任は嘲るように言った。
｢今は、こいつらがお前の命令を聞いてはいるが俺がいなくなればお前だって殺 されるぞっ！｣
これが前任にとって一番の脅しだった。
たかが、少し霊力の高い小娘だ。
自分の身が危険だとわかれば殺 さずに政府に明け渡すと考えたのだ。
だが、少女の答えは予想したものとは遥かに違った。
｢心得ております｣
その言葉には？と間抜けな声が漏れた。
周りの刀剣男士たちは静かに二人の会話を聞いている者もいれば探るような視線を向けるものもいる。
｢彼らが受けた仕打ちの数々、私ひとりの身で償えるのならそれで良いではありませんか？｣
少し面をずらして顔の半分が見えるようにして微笑むと前任はさらに悲鳴をあげた。
気づいてしまったのだ。この者が人間では無いことに。
このままでは、このままでは殺 される！
前任は血だらけの手で少女の髪を掴み自分の方へ力一杯引っ張るとその白い首筋を切りつけた。
護身用に持っていた折りたたみナイフだ。
｢これで大丈夫……！これでこの女は死 んだ！｣
倒れ込んだ少女を抱き抱えた明石国行がふぅとため息を吐くと膝まづいた状態の自分の右膝に寄りかからせ頭を肩に置く。
｢ふはは……主はん、ほんまにおもろいわァ｣
それに続いて乱藤四郎と鳴狐も笑う。
他の刀剣男士……にっかり青江と大太刀以外は何故３人が笑っているのかわからなかった。
新任の審神者である少女が殺されて絶望したのだろうかと不安に思ったその時。
少女の笑う声が響いた。
その声は明石国行に抱えられた少女のもの。
｢な……んで！？死 んだはずだ……！？｣
その問に答えたのは目の前の少女。
｢油断してしまいました。まさか人の子に切られるとは思っていなかったので｣
ラッキーカラー
あずきいろ
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凛々 - 明石、ここでも寝てるのか...(ToT) (2019年10月24日 16時) (
レス) id: 9f94443348 (このIDを非表示/違反報告)
レモン(プロフ) - はじめまして、すごく面白かったです！続きが気になります！続き頑張って下さい！ (2018年11月25日 16時) (レス) id: e66d7d83c8 (このIDを非表示/違反報告)
桜美舞 - めっちゃ続きが気になります！更新頑張って下さいね！ (2017年2月23日 0時) (レス) id: 5518585154 (このIDを非表示/違反報告)
華杏萌葱(プロフ) - 初めまして！いつも楽しく読んでます！１６話読んで思ったんですが、乱ちゃんの鳴狐の呼び方、違ってませんか…？ばみちゃんにも兄さん付けてるし…。私の思い違いだったらすいません…。これからも更新頑張って下さい！応援してます！！ (2017年2月8日 12時) (レス) id: a23c971960 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅じそつくね | 作成日時：2016年10月7日 2時
