薬 ページ35
シエルside
ミレイと話をしていると、部屋の扉が鳴る。
シ「僕が呼んだんだ。入れ。」
起き上がろうとしたミレイを手伝っていると、セバスチャンがカートを押して部屋に入って来た。
セ「失礼致します。飛行機で何も口にしてないとの事でしたから
始終を聞いていたセバスチャンがクスリと笑う。
シ「セバスチャン、僕が食べさせる。
＿＿＿いつもの様にな。」
目を丸くするミレイにさっきの仕返しだと言うと、セバスチャンからお皿の乗ったトレイを受け取った。
ーーーーーーーーーーーーー
ミレイside
掬った粥を息をかけて冷ます姿が面白くて気づかれないようにセバスチャンと視線を交わした。
シ「よし。ミレイ、口を開けろ。あー、して。」
照れくさそうにそう言った兄様の後ろではセバスチャンが声を殺して笑っている。
『……ん、美味しいです。流石、セバスチャン。』
ここでの食事はほとんどセバスチャンのものだったから味は分かっている。
1口、また1口とすんなりお粥は喉を通った。
セ「ふふっ、ありがとうございます。後ほどルーカスが薬を持ってくるとのことですので、私はこれで。」
綺麗に食べられたお皿を受け取ると満足げにセバスチャンは下がった。
横の置き時計を見ればもう11時を回っている。
『お兄様もそろそろおやすみになられてください。クマ、出来てますよ。』
兄様の目元に触れながらそう言うと手首を掴まれる。
シ「ミレイは、遠くに行かないでくれ。…僕は妹まで失いたくはない。」
それを言うと兄様は手を離して立ち上がり、頬にキスを落とした。
私も同じように頬にキスをする。
「失礼致します。お薬をお持ちしました。」
ノックと共に入ってきたルーカスにひと声かけると
「おやすみ、ミレイ。いい夢を。」
悲しげに私に笑って、背を向けた。
『…おやすみなさい、お兄様。』
私は部屋を出るまで、その後ろ姿を見つめていた。
･
･
･
ル「白湯と薬になります。顔色は良くなりましたね。」
薬を受け取ると口に含んで白湯で流し込む。
兄様の望む未来には、私は居ない。
このまま続ければ、先に寿命がなくなるだろう。
それでいいと思っていた。
そのはずなのに、今になって胸が痛んだ。
『…おやすみ、ルーク。』
「控えておりますのでいつでもお呼びください。」
いつもよりも苦く感じた薬の味は、しばらくは忘れられないだろう。
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伊織(プロフ) - 孤歌さん» リクエストありがとうございます！作成させていただきます！これからも本作品をよろしくお願いします！ (2019年3月28日 19時) (
レス) id: e59d6dd073 (このIDを非表示/違反報告)
孤歌(プロフ) - はじめまして！突然ですが、番外編でカルマが夢主ちゃんの家に泊まりに行くみたいなシチュエーション出来ますか？できたらお願いします！これからも更新がんばって下さい(^^)b (2019年3月28日 19時) (レス) id: 5a595ce298 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - ほのぼのさん» コメントありがとうございます！これからも見てください！ (2019年3月10日 11時) (レス) id: e59d6dd073 (このIDを非表示/違反報告)
ほのぼの(プロフ) - 暗殺教室と黒執事という面白いコラボにハマってしまってます！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2019年3月10日 10時) (レス) id: 4fed4f432c (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 鈴さん» コメントありがとうございます！続きもお願いします！ (2019年3月9日 16時) (レス) id: e59d6dd073 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：伊織 | 作成日時：2019年3月2日 23時
