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「……」
行ってしまった。
さっきの会話を思い出しながら、私はその場にぼんやりと座った。
(……好きなんて……)
一つ目の返事は、もう決まっていた。
でも、もうひとつの返事は。
「……」
どうしよう。……私は、このまま楽になるべきなのだろうか。
しばらく考えても出ない答え。私はため息混じりに立ち上がり、再び校舎に入っていった。
静まり返った校舎内を一人歩く。その間をも、私の頭を埋めていたのは幸村くんだった。
そのまま一階へ降りてきたところだろうか。自然と、私の足が止まった。
「……、げ。」
小さく声が漏れた。
目線の先にいたのは、柳生先生……と、父親。
柳生先生に見つかったのもあれだけど、それよりもなぜ父親がここにいるのかわからなかった。
「忘れ物は見つかりましたか?Aさん。」
「……はあ。」
あー柳生先生ちょっと怒ってるかこれ。声のトーンが違う……
「原則、休日は校舎内には入れない決まりですよ。それに、お父様にまで迷惑をかけて。」
「……」
別に迷惑をかけたつもりなんてない。……勝手に探しに来ただけなのに、どうしてそんな言い方を。
「……なにはともあれ、よかったですね。真田くん。」
「ああ……引き止めて悪かったな柳生。……帰るぞ。A。」
「いい。一人で帰れる。」
「おいA。」
「ついてこないで。」
私は極力少ない会話を交わして、父親の横を通り抜け帰路についたのだった。
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幻想曲(プロフ) - 射命丸霊夢さん» いやあ〜流石にないんじゃないでしょうかw想像すると面白いですけども……「やばい先生また悪魔化した!!」みたいな……扱い慣れてる生徒も怖いですがw (2015年7月26日 22時) (レス) id: 1deaa07922 (このIDを非表示/違反報告)
射命丸霊夢 - 赤也が体育教師て、なんか危険な感じがします(笑)突然デビル化なんてしたりするんですかねw (2015年7月26日 22時) (レス) id: c2430a94f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru
作成日時:2015年7月21日 0時