花、薫ル君。【テニプリ/幸村精市】

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蓮二side



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｢なあ蓮二。最近娘の様子がおかしいのだが。｣



ある休みの日。唐突に家を訪ねてきたかと思えば、弦一郎の口から出たのはそんな悩みだった。



｢なぜ俺に言うんだ。自分の娘に言えばいいだろう。｣



｢……それが出来たら苦労はしていない。｣



弦一郎は疲れた顔でそう俺に返した。……まだ反抗期なのか。あの子は。



聞けば、奥さんに聞いても年頃だからと笑ってはぐらかされるだけらしい。



それで、由華からの情報を頼りに俺のところへやってきた……という寸法か。



｢……まあいい、とりあえず暑いだろう。上がっていけ。｣



｢そうさせてもらう……｣



俺は弦一郎を居間に通し、冷えた麦茶を出してやった。



……思えば、由華も近頃Aちゃんを心配していたな。



まあそのせいで俺と貞治にあらぬ疑いをかけられたが。



いくら俺でも、人の娘に倒れるようなものを飲ませたりはしないさ。……それは置いておいて。



｢……それで。お前の娘は、何かAについて言ってなかったか？｣



｢ああ。最近どうも様子がおかしいとは聞いている。なんでも、ぼんやりしたり簡単なミスをしたり……｣



｢……それは家でも同じだ。……何か、心当たりがあったりは……しないか？｣



｢それは直接本人に聞いてもらわないと。俺はどうにも言えないしな……｣



その時だった。



｢ただいまー！｣



扉の開く音がして、威勢のいい声がした。



それと、もう一人分の足音も。

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