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多分、いつもの私なら無理にでも振り切って授業に戻っていたことだろう。
それでも彼についていってしまったのは、あの香りに引き込まれたから?
それとも掴まれた腕を振り切れないほど、彼に……心を寄せていたから?
彼はそのまま私の手を引いて、ずんずんと進んでいった。
階段を上り進め、彼はゆっくりと屋上に続く扉を開けた。
とたんに流れ込む熱気。それと、花の匂い。
彼から漂う香りと、全く同じ香り。
「……突然連れ出してごめんね、A。ここなら誰も来ないと思って。」
「いや、別に……」
見ると、設置された花壇には鮮やかな色の花が咲き誇っていた。
花たちの香りが、彼の香りと混ざる。
くらりとするような匂いが、私を覆った。
「……綺麗だろう。ずっと俺が手入れしててね。」
「……ここにはよくくるの?」
「ああ。ずっと保健室にいても、やることなくなっちゃうからさ。……そのせいで、主治医の先生にはよく怒られちゃうんだけど。」
「……」
「……はあ。こんなに喋ったのは久しぶりだよ。……ねえA、もっと教えてくれないかな。君のこと。」
「……、いい……けど、私もあなたのこと知りたい。」
どうしてこんなに話せるのか。どうしてこんなに不思議な気持ちになるのか。
そして、どうしてこんなにあなたに惹かれてしまうのか。
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幻想曲(プロフ) - 射命丸霊夢さん» いやあ〜流石にないんじゃないでしょうかw想像すると面白いですけども……「やばい先生また悪魔化した!!」みたいな……扱い慣れてる生徒も怖いですがw (2015年7月26日 22時) (レス) id: 1deaa07922 (このIDを非表示/違反報告)
射命丸霊夢 - 赤也が体育教師て、なんか危険な感じがします(笑)突然デビル化なんてしたりするんですかねw (2015年7月26日 22時) (レス) id: c2430a94f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幻想曲 | 作者ホームページ:http://uranai.amanoboru
作成日時:2015年7月21日 0時