53 ページ ｲﾙﾐ ページ5
ヒソカから貰ったメールを見て、気付けば俺はヨークシンに向かっていた。
そこに旅団のアジトがあって、Aはそこに来たらしい。
「間に合うか？」
時計を確認しながら、急いで行動する。
俺らしくもない。
そう思いながらも体は勝手に動く。
何が気がかりなんだ。
クロロにAを会わせること？
クロロがAを気に入るかもしれないこと？
旅団に勧誘されるかもしれないこと？
自分でも答えがわからない自問を繰り返し、やっとヒソカに言われた場所に辿り着く。
答えなんて出せないまま。
俺の到着に気づいたいくつかの殺気も気にせず、ズカズカと廃墟に足を踏み入れる。
やがて到着したのは少し開けた場所だった。
「やぁ、思ったより遅かったね」
高みの見物か、ヒソカはニヤニヤしながらそう言ってきた。
「Aはどこ」
周りにいる、恐らく旅団の団員である数人の刺さる視線なんて気にせずヒソカに向けて言葉を放つと、俺が入ってきたばかりの入り口から返答が来た。
「彼女なら仕事を終えて帰ったよ、イルミ」
振り返ると、そこにはクロロが立っていた。
「…そう、なら俺は帰るから」
そう言い残して、その場を去ろうとするも、クロロの言葉によって足が止まった。
「興味深い念能力を持ってるね、イルミの彼女は」
「…親が決めた婚約者だよ」
クロロと向き合ってそう言葉を訂正する。
「好意は無いと？」
「そういう事、もういい？帰りたいんだけど」
「じゃあ、最後に… イルミの弟、キルアが彼女と付き合う事になったら、どうする？」
「そんなこと…！」
どうもしない。キルは次期当主。Aはきっと申し分ない相手になるだろう。
そう答えようとしたのに。
それが現実になった場合を考えると、どうしても… 何度想像しても… 俺はいつもキルを殺していた…
「どうかしたのか、イルミ」
悟っていたかのような表情を向けられ、少し自分の顔が歪んだ気がした。
「どうもしない。帰る。」
俺は逃げるようにその廃墟を後にした。
今まで気付かないフリをしてきたこの感情、愛、にモヤモヤしながら。
「ただいま」
自宅に着いて、自室で今日のことを整理しようと廊下を歩いてると使用人に声をかけられた。
用件は、母さんが呼んでるとの事。
「そろそろね、キルに婚約者が必要だと思ってね」
「うん、そうだね」
「それで、イルミが結婚しないならAちゃんを、キルの婚約者にしようと思って」
その言葉に初めて頭の中が真っ白になった。
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吉田 夕陽(プロフ) - 初めてのコメント失礼します。今までのイルミの作品の中でこの作品が一番しっくり来ました！とても良い物語でした！！ (2022年2月28日 12時) (
レス) @page13 id: ab26c36e5b (このIDを非表示/違反報告)
tk - 投票1回では足りないくらい、大好きな作品です！ (2021年5月5日 0時) (レス) id: 1337dc1b37 (このIDを非表示/違反報告)
tk - うおおおおおおおおおおおおおお！！！ 更新ありがとうございますうううううう！！！嬉しいです！！ (2021年3月22日 21時) (レス) id: 311d9fd560 (このIDを非表示/違反報告)
はざくら(プロフ) - 素敵な作品です！最更新楽しみにしてます！ (2021年2月27日 0時) (レス) id: 86be810755 (このIDを非表示/違反報告)
きき - 今まで読んだイルミ夢小説の中で一番良かったです。理想のイルミでした。キャラ崩壊ほど甘くなくてとても理想的でした。続き楽しみに待ってます。 (2021年2月24日 3時) (レス) id: 9b6d1d410f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花ノ絵 | 作成日時：2020年4月2日 17時
