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ゾルディック家を去って真っ直ぐ家に帰ってそのままシャワー室に向かった。
蛇口を捻って降ってくるお湯に心を落ち着かせる。
まだヒリヒリする唇、イルミの少し低い手の体温、キスの感覚、まだ少し早い鼓動。
それら全てが残ってる。
自分の手首を見るとくっきり付いた掴まれた後。
早く消えて欲しい。そう思うと同時に何処かで一生消えない物になればいいのにと思ってしまう。
小さく溜息をついて、そのまま上がって部屋に戻る。
本当にイルミの記憶が正しいなら、やっぱり私が、あの念能力を使った事になる。
【1秒使う毎に1日記憶を失う】
失われる日に規則制はないはず… でも、そうすると私はイルミと過ごした日々だけを忘れてると言う事になる…
「もう考えるの嫌だな…」
知らなければこんなに悩んで、記憶を失った事でこう拗れることも無かった。
そして、思い出したいと思うこともなかった…
ハンター試験の時に作ったイルミのカルテを取り出しシュレッダーにかける。
「もう終わりだから」
そう自分に言い聞かせて、いつもの日常に戻るように、仕事のメールを確認する。
「やぁ」
急に窓から声がしたと思い、右隣の窓に振り向くと、そこにはヒソカがいた。
「…不審者じゃん」
「そう言わずに、中に入れてよ」
「ドアからは入れないの?」
そう言いつつ中に入れる私も変なのだろう。けど、ヒソカは電話とかはしてくるけど、家に直接くることは少ない。
「何しに来たの?」
「いやぁ、ある人がAの家知りたいって言うから教えていいか聞きに来た」
「…イルミにだめって言っといて」
「あれ?ボク、イルミって言ったっけ」
「ヒソカと付き合ってられるのイルミくらいでしょ」
そう言うと、ヒソカは不満そうだけど納得したような表情を浮かべた。
「でも残念、もう遅いよ」
その言葉と同時に、インターホンが鳴った。
「…殺す」
「いいよ、楽しみだね」
舌舐めずりするヒソカだが、その間もインターホンは鳴る。
肩を落として玄関のドアにチェーンを掛けてから鍵を開けると、外から勢いよく開けられた…チェーンのせいで少しだけだったが。
「なにそれ」
外にいるイルミは不満気にそう言うが、その隙間から覗く黒目は大分ホラーなのを自覚して欲しい。
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ねこ娘(プロフ) - あの無感情のイルミをそこまでキャラも崩さずに描けるの尊敬します、、、主人公もイルミも感情がないはずなのにちゃっかり恋しちゃってる?感じがなんとも、、、ついに旅団と関わっちゃうのかぁ!!続きがとても気になります。更新頑張ってください!! (2020年3月20日 21時) (レス) id: d91513b7f5 (このIDを非表示/違反報告)
ぱすてらんど(プロフ) - あぁぁぁ胸きゅんする!!! (2020年2月9日 18時) (レス) id: b348ed70ca (このIDを非表示/違反報告)
花ノ絵(プロフ) - ワイワイタヤコンさん» ありがとうございます!更新頑張ります! (2020年1月18日 11時) (レス) id: dcfd5de193 (このIDを非表示/違反報告)
花ノ絵(プロフ) - ありとあらゆる病原菌の自然宿主である黒猫さん» そう言ってもらえると嬉しいです! (2020年1月18日 11時) (レス) id: dcfd5de193 (このIDを非表示/違反報告)
ワイワイタヤコン - 好きすぎて、読み返してる。 (2020年1月16日 1時) (レス) id: c66835a7d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花ノ絵 | 作成日時:2019年11月28日 23時