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ページ30

〜キヨside〜


客の中にも老婆は何人かいた。けれどすべてAではないようだった。
途中からアブさんも合流してきて探したが、宝石もなくAも見当たらなかった。

この美術館内は午後6時まで出ることはできない。

午後4時から行われる宝石たちの披露宴があるため、一度入ったら6時までは出ることは禁止されているのだ。




「つーわけで、外には出てないはずだぜ。」




俺がそう言い終ると、全員が深刻そうな表情で考え込む。

出ることのできないこの美術館内で突然消えたA。
そして、一緒になくなった宝石。これはきっとなにか関係しているはずだ。




「一番怪しいのはレトやんだよね。」




そう言ってアブさんは一応手錠をされたレトさんの方を見る。

「なんも知らんで。」そう言ってレトさんは柱につながれた手錠をジャラジャラと鳴らして見せた。
「取りあえず、これ外してくれへん?」レトさんの頼みにこーすけは首を振った。




「なんにも知ら無いって証拠が何処にあるの?」

「…はぁ?何度も身体検査して宝石を持っとらんちゅう事はわかったやろ?」

「もしかしたらAちゃんに持たせて逃がしたんじゃないの?」

「んなわけあるか。」

「…それか、Aちゃんが裏切って逃げたとか?」




アブさんの言葉にレトさんの表情が険しくなる。

勿論アブさんの意見が一番理屈が通ってると言えるだろう。
だけど俺はレトさんは関係ないんじゃないかと思う。




「でもさ、そうやってやたらとレトさんを責めるアブさんも怪しいよな。」

「…は?」




そう言って二人の間に割って入った俺を見て、アブさんは眉間にしわを寄せる。
流れを崩すなよ。そう言いたげな表情。




「アブさんが最後なんだよ。ここに来たの。」

「それは裏の保管庫で宝石の数をチェックしてたから遅れて…。」

「でもあんなに騒ぎになったんだぜ?少しはおかしいと思って外に出ても不自然じゃーよなぁ。」




保管庫は宝石の状態を保つために防音効果が入ってるから。

そう言ったアブさんの意見に、セピアさんも同調した。




「あの部屋の防音は結構すごいよ。コジマさんが外で大声出しても中には聞こえないレベルだから。」

「プレイボール!!!」




耳元で大声を出されて少し驚く。
…コイツ、俺より声でけぇんじゃねーの?

これが聞こえないなら、確かに外の状況がわからなくても不自然ではない…。

でしょ?みたいな顔でこっちを見てくるアブさん。
…なんか腹立つ!

〃→←〃



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レイ - 続きが気になる… (2022年8月10日 12時) (レス) @page36 id: 88c030d218 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いですね!シリーズ1話から一気に読んでしまいました!!更新楽しみにしてます。 (2022年4月7日 0時) (レス) @page35 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
紫花莉(プロフ) - 春雨さん» ありがとうございます! (2018年4月16日 17時) (レス) id: adbcb7ad7c (このIDを非表示/違反報告)
紫花莉(プロフ) - ネアさん» ありがとうございます! (2018年4月16日 17時) (レス) id: adbcb7ad7c (このIDを非表示/違反報告)
春雨 - おもしろいです!一気に見ちゃいました!頑張ってください! (2018年4月7日 22時) (レス) id: 71cbe914fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫花莉 | 作成日時:2016年11月28日 18時

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