〃 ページ16
〜キヨside〜
「キヨ、怪盗レトルトは…。」
「だめだ、逃げられた。」
苦い顔をするこーすけ。
フジは責任を感じたのか、「俺のせいだ…。」と下を向く。
「んなことねーよ。」そう言ってフジの肩を軽くたたく俺。
ヒラは低い身長ながらも、フジの頭を撫でていた。
「キヨ、話があるんだ。」
「…親父。」
その時、部屋に入ってきたのはまたしても親父だった。
正直今は忙しい。
後回しにしようとしたが、いつになく強引な親父に従うしかなかった。
「キヨ、行ってきな。」
「…わぁったよ。」
俺は親父と部屋を変えた。
＊
＊
「話ってなんだよ。」
自分がキツイ口調なのが分かった。
口調こそキツイものの、言い方はどうしてきつくできなかった。
いつも親の前では良い子でいた。いや…良い子でいたかったんだと思う。
父親はそんな俺に感心して、母親は期待をしていた。
でも俺は、理想の良い子にはなれなかった。
そしてだんだん、俺はグレていった。
母親はヒステリックに叫び、俺に怒った。
父親は何も言わなかった。だんだん、俺に対して腫れ物に触るような扱いになっていったのが分かった。
母親よりも、俺は父親が怖かった。
何も怒らずに、指図もしない。自由だけどそれが不安だった。
「…タクヤ、家を継ぐ気はないか？」
だから、父親がこう言ってきた時は毎回困った。そして今も。
毎回話しを濁すか、曖昧に断る。
ハッキリと言ったときは、毎回父親は悲しそうな顔をする。それが嫌だった。
段々おれも、どうやって接していいのかわからなくなっていった。
お互いに壁があり、距離があった。
俺は何も言わない父親に甘えて、毎回ろくに家にも帰らずに仕事をしてきた。
だが今回の仕事は運が悪かった、としか言いようがない。
「俺は今の仕事を続けたい。」
俺の返事を、親父は噛みしめるように聞いていた。
「実は、母さんがどうしてもお前に家を継いでほしいみたいなんだ。」
「…へぇ。」
「だから、無理やりにでも仕事をやめさせるだろう。」
「…だから？俺はやめる気なんてない。」
死んでも続けてやるよ。そう言った俺を、親父は黙って見つめた。
失望されたかもしれない、嫌われたかもしれない。
親父と話すとき、俺は毎回この事ばかりを考えた。
「…そうか。それじゃあ最後のお願いだ。コレを持っていてほしい。」
親父が出したのは、リオンアイだった。
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レイ - 続きが気になる… (2022年8月10日 12時) (
レス) @page36 id: 88c030d218 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いですね!シリーズ1話から一気に読んでしまいました!!更新楽しみにしてます。 (2022年4月7日 0時) (レス) @page35 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
紫花莉(プロフ) - 春雨さん» ありがとうございます！ (2018年4月16日 17時) (レス) id: adbcb7ad7c (このIDを非表示/違反報告)
紫花莉(プロフ) - ネアさん» ありがとうございます！ (2018年4月16日 17時) (レス) id: adbcb7ad7c (このIDを非表示/違反報告)
春雨 - おもしろいです！一気に見ちゃいました！頑張ってください！ (2018年4月7日 22時) (レス) id: 71cbe914fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫花莉
| 作成日時：2016年11月28日 18時
