【ky】 朝起きたら有名ゲーム実況者になってました

「レトルト」 ページ5

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「この指の数は？」

『三』

「これは？」

『七』

「…むう、キヨ君ホンマに記憶喪失なん？」




いやいやいや！
記憶喪失でも数はわかるでしょ！！

細くて長い指で数を示しながら、友人さんは難しそうな顔をした。




「主に何がわからないん？」

『…ここが何処か、』

「ここは東京××区の××っちゅうマンションやで。ついでに六階」

『わた、…俺の名前は清川拓哉？』

「おん、それはわかるんやな」




東京の××区…。
私が住んでいる家は静岡県××市だ。結構遠い。




『じゃあ、…名前は？』

「え？」

『…あ、貴方の名前は？』

「…え、俺の事わからないん？」




何故だろう、記憶喪失とわかった時よりもショックを受けている様子だ。
そんなにキヨさんと友人さんは仲がいいのだろうか。




「香坂怜人やで。…俺ら、ずっともフォーエバーって約束したのに」

『え、えぇ？！香坂？さん、なんか…すみません…』




ずっともフォーエバーって、なんか頭悪そうな名前…。
…じゃなくて、大親友って事なのかな。




「冗談やで、ずっともちゃう、喧嘩ップルの友人バージョンみたいなもんやで！」




よくわかんないけど、二人は喧嘩ップルらしい。




「それと、キヨ君はいつも俺の事、レトさん、って呼ぶんやで」

『れ、レトさん…』

「そ、俺のあだ名がレトルトやからな」




レトルト、随分変わった名前だ。

思ったよりもレトルトさんが話しやすくてよかった。


私は心の中で安堵のため息をついた。

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