【ky】 朝起きたら有名ゲーム実況者になってました

四日目　「出発」 ページ39

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目が覚めると、見慣れた部屋。

起き上がり、鏡を見ると、そこには寝ぼけた顔をしたキヨさんがいた。


＿＿＿＿＿二度寝したら、また会えるかな…、

目覚めない頭で私はお風呂場へ向かった。




・



「…よし、」




整った顔立ちのキヨさんと鏡越しに目が合う。

風呂も入り終わり、服も着替え、準備万端。
手には財布を持ち、家を出た。


東京は人が多くて、なかなか慣れない。

スマホのナビに従い駅まで着く。

電車には数えるほどしか乗ったことがない。
新幹線なんて、もっと経験がない。


慣れない手つきで切符を買い、新幹線へ足を踏み入れた。




「あれ、キヨ？」




思わず振り返った。
私はキヨさんじゃないのに、それほどキヨさんの生活に慣れたという事だろうか。


休日の早朝の新幹線は空いている。

そのため、声の主はすぐに見つけることができた。




「あ、やっぱキヨじゃん」

『…う、うっしー？』




黒髪の眼鏡、何より特徴的な低い声。
実写動画で見た、牛沢さんだ。


なんとなく、私はキヨさんになりきっていた。

きっとそれは、牛沢さんの事を傷つけたくないから。
フジさんの時みたいに、悩ませたくないから。




「何、旅行？」

『いや、まぁ…、そんな感じ。うっしーは？』

「実は、すっげー良い植物園見つけてさぁ…」

『しょ、植物…？』




植物なめんなよ！

そう言って牛沢さんは植物園で撮ったらしき画像を見せてくる。
なんと反応すればいいモノか…。




「何処まで行くの？」

『静岡』

「へぇ、キヨが旅行って珍しいじゃん。富士山にでも登るの？」

『そんな感じ、』

「え、マジで？」




話ながら、私と牛沢さんは、なんとなく隣に座った。

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