【ky】 朝起きたら有名ゲーム実況者になってました

夢.3　【号泣】 ページ32

【うっ…うぅ…】

【どうしたの？A】

【…もう、学校なんて、行きたくないよ…、】

【…、靴も体操着も、また新しいの買えばいいじゃん、ね？】

【うん…】

【大丈夫だよ、辛い事があったら、全部お姉ちゃんに話して。私は、Aの味方だから】




・




『っ…』




目を開くと、そこは見慣れた闇の中。

あぁ、夢の中か…。


帰宅した私は、風呂も入らず、すぐに眠りについた。
キヨさんに、会いたかったから。




『キヨさん…？』




暗闇の中に浮く赤髪を見つけ、声を掛ける。

心なしか、いつもより縮こまっているように見える。




「うぅ…う"ぅ…、拓也"ぁ"あ"ぁあ…」




キヨさんはイケメン学園のパンフレットを手に持っていた。




『ど、どーしたんですか…、号泣して…』

「い、良い映画、だな…。思わずパンフレットを取り寄せちまったよ…」




この夢の世界はキヨさんの欲しいものが手にはいる場所だ。
ゲーム同様にパンフレットを手に入れたらしい。

キヨさんは服の袖で涙をぬぐうと、私の手を勢いよく掴んだ。




「拓也には幸せになって欲しいよな…！！」

『そ、そうですね…』




レトルトさん達の情報通り、キヨさんは涙もろいらしい。




『…キヨさん、今日楽しかったです』

「おう、よかったな！！」

『けど私、やっぱりこのままじゃダメだと思うんです』

「…どーゆこと？お前は俺になって楽しいし、俺はこの世界でエンジョイ。ウィンウィンじゃん」




＿＿＿＿＿けど、このままじゃ…。

言葉を続けようとして気が付いた。



"俺はこの世界でエンジョイ"…？

私はキヨさんになって、キヨさんは夢の世界にいる。
…じゃあ、中身のなくなった私の身体は、？

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