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「思い出」 ページ30






『レトルトさん、これ…』

「え、くれるん?」




私は持っていたカニの人形を差し出す。
レトルトさんは嬉しそうにそれを抱きしめ、満面の笑みだった。

…なんか、可愛いなぁ。

成人男性に可愛いという単語はどうかと思うけど、笑顔が可愛い。




「こんなに優しいキヨ君、初めてや…、」

「キヨの中に、優しさが芽生え始めてる…?!」

「し、システムエラー起こさん?」

『いや、アンドロイドじゃないですよ』




ホントに、日頃のキヨさんの行動が気になる。




「…これ、大事にするで」

『うん』

「…あのな、俺思ったんやけど。記憶、戻らんでもええと思う」




唐突に発せられたレトルトさんの言葉に、耳を疑う。

フジさんも「え?」と聞き返していた。




「ずっと、早う記憶を戻さんと、って思ってたんやけど…」

「今のキヨのほうが優しいから…?」

「まぁ、それもあるけど…、ってちゃうわ!前の思い出も大事やけど、これからまた作っていく思い出も大事やなぁ…って」




ゲーセン内はうるさいはずなのに。

何故だか、静かなように感じた。




「また、一からやり直すっていうのも、悪くないなぁって…」

「レトさん…」

「記憶を思い出すの強要しても、キヨ君には負担やろうし、それに…」




_____記憶がなくても、キヨ君はキヨ君やから。


私の心が、小さく悲鳴を上げた。



レトルトさん達が、私の記憶を戻そうと努力する。

けど、私が思い出せるわけがない。
頑張る彼らを見てると、罪悪感が湧いた。



今度は、レトルトさん達がソレをあきらめた。

何故だろう、私の胸は絞めつけられる。
申し訳なさで、いっぱいになる。


それは彼らに"諦める"という選択肢を選ばせたせいか。

それとも、キヨさんではない私との思い出をつくらせる事になるせいか。


よく、わからなかった。

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紫花莉(プロフ) - 藤原(仮)さん» ありがとうございます!私、元々ギャグ系を書くのが好きで…、笑ってもらえてうれしいです!頑張ります!! (2018年1月27日 20時) (レス) id: adbcb7ad7c (このIDを非表示/違反報告)
紫花莉(プロフ) - はーさん@ガチパパおめでとう!!さん» 他の作品も見ていただきありがとうございます!!設定、気に入ってもらえてうれしいです…! (2018年1月27日 20時) (レス) id: adbcb7ad7c (このIDを非表示/違反報告)
藤原(仮) - うっしーと会話してるとこ笑っちゃいました笑更新ファイトです! (2018年1月27日 17時) (レス) id: b2e8861a5d (このIDを非表示/違反報告)
はーさん@ガチパパおめでとう!!(プロフ) - 今作も凄く面白いです…!設定とか凄い好きです…。更新頑張って下さい! (2018年1月27日 10時) (レス) id: 1242ede1ee (このIDを非表示/違反報告)
紫花莉(プロフ) - ねむりかわねごと@あたキヨ勢さん» コメントありがとうございます!結構終盤の方にきてますね…、頑張って更新しようと思います。 (2018年1月15日 18時) (レス) id: adbcb7ad7c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫花莉 | 作成日時:2018年1月3日 14時

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