仮面 ページ29
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あの日から彼女の様子がおかしいのは全員が気づいていた。
仕事は無駄なくこなすし、しっかり護衛もしている。
つい先程も殿下に近寄ってきた変態野郎を追い払っていたところだし。
だがなんだろう、この違和感は。
「茨、皆様お集まりです。」
「今行きます。」
目は合うが合っていないようにも思える
Aのことを考えながらも、レッスン後のミーティングで予定の確認やオファーの話を伝える。
もう日はとっくに落ちて、腹が減るどころか風呂に入りたい時間だ
「本日も遅くまでお疲れ様でした!敬礼〜!」
「茨、今日私オムライスが食べたいのだけれど、」
「アイアイ!只今ご用意いたします閣下!」
ミーティングを終え、ドア付近に立っていたAを脇目に、閣下と部屋を出た。
最初の笑いあったりしたことが夢だったみたいだ。
今の方が夢であってほしいと願ってしまう
*
閣下に食事を用意し、事務所へと戻った。
既に他の職員は退勤しており、最終チェックの書類や確認の付箋などが貼られた書類がデスクに積み上がっている。
自然と大きな溜め息が出た。
「茨。お疲れ様です」
「A?どうしたんです、こんな時間に」
「日和坊っちゃま、凪砂様、ジュンはお部屋に戻られましたので後は茨だけです。」
護衛の任務のことか。
まるで与えられたことだけをこなし、表情を変えなくなった彼女はロボットのようだった。
「A」
「はい」
「こちらへ」
「茨、」
Aの張り付いた仮面はどうやったら取れるのだろう?
ロボットでも、今までのような独りぼっちでもない。
自分らのチームの一員なのだ
大切にしたいと思える…そんな人。
寂しい、と感情が隠れているのもわかる
だから少し考えた後、自分の範囲内に入った瞬間Aを抱き寄せた。
「セクハラですよ」
「今離したら泣き顔丸見えですがいいんですか?」
「…意地悪しないでください、」
「なぜ我慢したんですか。1人で考え込まないでください。馬鹿ですか?」
「…馬鹿ではないと思いたい、です。」
そこかよ、と軽くツッコミを入れそうになった。
何でそこまで自分を押し殺したかは知らないが、1人で抱えること、ではないことは確か。
定期的に慰めることになりそうだ、と面倒くさくも少しだけ嬉しく感じた。
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作者名:はなちゃ | 作成日時:2022年9月21日 22時


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