ただの友人1 ページ18
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｢熱帯魚だ〜！｣
｢カラフルやね｣
繋がれた手が汗かいてないかヒヤヒヤしながら必死に魚へ目を向けた。
カクレクマノミを始めとした色んな色の魚がいる
これ、傍から見ればカップル…だよね。
｢Aはん、わしあれ見たいんやけど｣
｢くらげ？｣
｢ここの水族館が推してるっち話や｣
｢そうなんだ、行ってみよう｣
間接照明だけの暗い通路。
くらげを見たいからか、こはきゅんが少し前に出て歩く。
歳下…でもやっぱり男の子の体つき、
変に意識してしまう。
｢Aはん？｣
｢なに？｣
｢や、手握る力強うなったからどうしたんかと、｣
｢ごめん完全に無意識だった…｣
｢コッコッそんなに離れたくないん？｣
｢っ！｣
コソッと耳元でそう言った。
さっきからまるで手のひらで転がされている気分だ。
くそ…歳上としての威厳…！
｢そうだよ、離れたくなくて｣
｢…カウンターは、なしやよ｣
くらげのゾーンへ来れば辺りは青を基調としたデザインで大きな水槽や小さな水槽にいくつもの種類のクラゲがふわふわと漂っていた。
うん、やっぱり平日でよかった。
人気のコーナーだとは思うが人がかなり少ない。
｢さくらくん｣
｢ん｣
｢また次もおでかけ、したいな｣
｢Aはんから言うてくれるなんてな、わしも思うとったよ。｣
手を繋いでるせいで自然と距離が近い。
約10cm。それほど変わらない瞳を見つめれば彼もこちらを、目を細めて見つめ返す。
3回ご飯を食べて告白しなかったらただの友達になっちゃう。と、どこかで聞いたことがある。
私はただのファン。そう思っていた何週間か前の出来事も頭の中からは消え去っていた。
彼の隣が居心地良すぎるせいだ。
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作者名：はなちゃ | 作成日時：2021年6月26日 21時
