海に溶ける【JK】 (ページ17)

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🐰 ページ17

駐車場に行けば見慣れた車が一台。

コツコツと響く自分のヒールの音がさらに私を焦らせる。

深呼吸して恐る恐る後ろのドアを開けた。

JK「なんで後ろ座るの、助手席こっち」

「う……うん」

そもそも、私が悪いんじゃないし……私がサイン会行きたいって思って行くことになったんじゃないし……譲られただけだし……

思い浮かぶのはどれも意味のないものばかりの、取って付けたような言い訳。

JK「とりあえず、お仕事お疲れ様」

「え？あぁ……ありがと、」

渡されたのは昔から好きなアイスコーヒー

どういう風の吹きまわし……？

JK「ねぇ」

急に距離を詰められて耳元で話し始めるジョングク。

JK「ほんと？」

JK「本当にサイン会来るの？」

「…………えっと、」

さっきまでアイスコーヒーを持っていただあろう冷たい右手の指が私の首すじをなぞる

JK「こっち見て答えて？ㅎㅎ」

目を泳がせていたら下から覗かれるようにそう言われた

……

うん、なにやってんの

ヌナになにやってんの

手、冷たいのよ

そんなあざとテクニックをヌナに使わないの

と、妙に冷静さを取り戻した私は

一つの作戦に出た

「えなに、私を洗脳しようとしてるの？」

JK「……ん？」

手を引っ込めて瞬きをしたジョングク。

ああごめんごめん、つっこむ場面じゃなかったね

言わずにはいられなかったの

「もう言う！サイン会行くよ、私サイン会いくの。」

JK「……うんヌナ、え？」

私のなんのためらいもない勢いのある言葉にぽかんと口を開ける

JK「ちょ落ち着いて、そんなさらっと言うの？」

「うん」

JK「え、え、え、え？僕がおかしいのかな、この空間が不思議でよく分からないんだけど」

「ごめん、言うの忘れてた！」

JK「……あ、そうなんだ。わかったよ了解了解」

「うん！」

JK「…………ってならないでしょ！！！」

「え」

あー……
押したらいけると思ったんだけどなあ

JK「ヌナ、ふざけてるの！？家帰ってからちゃんと話きくからっ！！」

ちょ、怖いんですけど。

今すぐ降ろしてもらって良いですか？

早急に安全な場所に避難するので。