[HQ]守護者

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(…あぁ。)

これは夢だろう。

そう思える夢って、たまにある。

ーーーー

貴方が、貴方の力強いスパイクが珍しく止められる。

自分のチームの観客の短い悲鳴、向こうチームの期待の声。

でも、大丈夫ですよ。

ドッ、

貴方の背中を守るためなら、どんなボールだって拾えるんです。

向こう側の期待の声が悲鳴じみた声に変わった瞬間が、俺は好きだ。

ーーー

「…あれ。」

さっきまで、貴方の後ろにいたはずだ。

でも今俺は貴方の後ろどころか、コート上にすらいない。

別に観客席ってわけじゃない。

貴方の向こうのコートのサブメンバーとして立っている。

貴方の力強い…さっきの光景よりももっと強い、

そんなスパイクがこちら側のコートに放たれる。

しかしそのボールは、俺がいるチームのリベロが拾った。

(あぁ、どうして。)

…貴方はそんな、楽しそうな目をしているんですか。

そのリベロが拾ったボールはセッターの手に吸い込まれるように、そして

こっち側の、

(小さな、巨人。)

誰かさんが打った。

それをまた貴方の後ろにいる誰かさんが拾う。

ああ、どうして俺はそこにいないんだ。

そこには確かに俺がいたはずだったのに。

でも現実を直視すると、

(……俺は、貴方の背中を守るどころか、)

今の、俺は…

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