[FEif]恵まれ無かった“真”第一王子~2章~[男主]

数えようか ページ31

マークス「核心には触れなくていい。教えてくれ。」

カゲトラ「た、ただの幻覚の様なものなんです......本当に.........。」

マークス(.........。)

隠している。

人には隠し事は必ずある。私だってそうだ。

だから深くまでは触れない。

......今のところは。

いや、いつか触れさせてくれるものなら。

カゲトラ「すみません......騒いでしまって...。」

マークス「...誰しも悩む。心配するな。」

カゲトラ「はい...。」

カゲトラは治まってきてはいるみたいだが、まだ少し震えている。

私に何ができるか。

それを考えるのが精一杯だった。

マークス「...カゲトラ。」

カゲトラ「どうしました...?」

マークス「自身の中で良かったものを一つずつ思い出してみるか。」

カゲトラ「それは...。」

昔、時間さえあればよくやったものだ。

外を見ないカゲトラのためを思って始めたものだが。

後にだんだんと、カゲトラからも聞けるようになった。

カゲトラ「えぇと.........たくさんありますね。どうしましょうか...。」

マークス「この忙しい中でも、良いものを探せるのは良い事だな。」

カゲトラ「そ、それって皮肉ですか...?」

マークス「違うぞ。」

昔からそうだ。

カゲトラは良いものをすぐ見付けては逐一私に教えた。

本当に良い目を持っている。

そのような目を持つ者が多ければ、戦争は...

カゲトラ「なにものにも変えられない素敵なものって、すぐ近くにあったりするものですよね。」

マークス「......そうだな。」

本当に、そうだ。

そして、欲しくて欲しくてたまらなくても、手に入らない事が多い。

本当に、欲しくても、触れる事さえ躊躇ってしまっては...

カゲトラ「私は、暗夜の星が好きです。太陽の代わりのようで、それでいて美しくて...。」

マークス「......見に、行こうか。」

カゲトラ「......マークスくん?」

美しいものを見続けるのは困難だが、今できる最大限。

気づかれずとも、お前のためなら。

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