365日、花。

パンジー 12/27 ページ3

いつだって、私からの想いは一方通行で。
あなたが私を見てくれる確率なんて、ほとんどない。
幼なじみ属性でもなければクラスの中心的ポジションでもない私に、あなたが振り向いてくれるはずなんてなくて。

ただのクラスメイト。
あなたの人生の脇役の１人。
そりゃそうだよね。想いも伝えてないんだから。
けれどもうこのクラスもほぼ明日で終わる。

受験勉強に追われるのだ。
そう。私たちはもう、高校３年生なのだから。

このクラスでできる最後の行事の合唱コンが終わって、窓枠にもたれかかって外を見た。

柄じゃないなぁ、こんな事するなんて。
そう思ったけれどなんだか名残惜しくて、ずっと沈みゆく夕焼けを見ていた。
この辺りは空気も澄んでいて、よく夕焼けが見える。

「…A、さん？」

ふと大好きな人の声が聞こえて、ばっと振り返る。
そこには、私の思った通りの人がいて。

「あ、え…」

何も言えずに吃っていると、彼はふわりと微笑んで言った。

「Aさんの声、すごく綺麗だった。合唱でもやってたのかなぁって思ったよ。」

そんなの、聞いてくれてると思ってなくて。
私自身はただのクラスメイトでも、私の歌声はあなたにとって特別なものになりましたか？

「…ありがとう」

あぁ、駄目だ。欲張ってはいけない。
けれど、私は願ってしまった。


私を、思って。



パンジー／私を思って

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