優しさをください。97 ページ34
安「……お世話好きのお兄ちゃん…………」
世「おじさんよりはマシなんじゃない？」
安「君が言い出したことだろう！？」
世「ボクはあんたのことおじさんだと思ってるからな」
安「いやいや、まだお兄さん！」
世「おじさんになった人が一番言いたくなる一言を引き出したな！」
ニッコリと笑って言っているのだろう。声のトーンでなんとなくわかる。
私は安室さんにしがみつくようにしているから世良ちゃんの表情は見えないけど、わかる気はする。
世良ちゃん、容赦ないなぁ……。
というか、安室さんの腕の力が弱くなってる気がする。
……うん、私も相当わがままだよね。だって。
だって、安室さんに抱きしめてほしいなんて。
強く抱きしめていて欲しくて。
私は、安室さんに意識してもらえるように、同じように抱きしめ返してもらえるように、私の方から安室さんに強く強く抱きついた。
安室さんの香りが鼻孔をくすぐって、なんとなく落ち着かなくなるのと同時に、やっぱり安心する。
私は、今この人にちゃんと抱きしめてもらっているんだっていう安心感。
安「ちょ、A、さん……？」
『……離れちゃ、嫌です』
安「っ！？」
『まだ、だめ。だめなの……お願い。離れないで……』
強く強く願う。
昔、こういう風に思ったことがあった。
どうしても離れて欲しくなくて。
わがままを言った。
そうしたら、困ったように微笑んで、私のそばにいてくれたから、私はずっとずっとわがままを言ってたと思う。
だから。
だから――。
『……っ！！』
緩んでいる腕から、私は体を思い切り離した。
驚いて見開かれた空色の瞳が、緑の瞳が、私を見つめている。
それなのに、私はその視線が、どうしてか。
――怖い。
『……っ！！ご、ごめんなさい、ごめなさいっ！！』
混乱する。だめだとわかっていても、言葉が止められない。
なんで。どうして。私は、ここにいるのだろう。
『ど、どうして、ここにいるの……？だって、まだ、発表は先って……！』
安「Aさん？どうしたんですか！」
『や、触らないで！あなたは誰！？』
安「Aさん！？」
『どうして私の名前を知っているの……？もしかして、あの人の知り合いの方？いけない…きちんとご挨拶しなきゃ………』
世「Aくん、しっかりしろ！」
『……あなたも誰？こんなにも知り合いの方がいらっしゃったかしら……？』
ああ、でも、私には想像もつかない世界にいるのなら、仕方がない。
ちゃんと笑って、挨拶をしなければ。
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霞葉 - このお話、とても好きです。続き、楽しみに待っています。 (2020年6月22日 12時) (
レス) id: a64398df50 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - RURUさん» RURU様、お久しぶりです！いつもあたたかなコメントを本当にありがとうございます。大変お待たせしてしまいましたが、ちょこちょこと更新も再開したいと思っておりますので、またおヒマな時に遊びに来てください！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - 白昼夢さん» 白昼夢様、コメントありがとうございます。更新大変遅くて申し訳ありません……。にもかかわらず、作品を大好きと言っていただける優しさにただただ感謝しております。ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
RURU(プロフ) - うおおおおおおおおおおおおおお！！！更新待ってましたーーー！もう大好きです！いつまでも楽しみにしてます！ (2019年2月14日 12時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢 - ああああああああああああああぁあぁああぁ！！！更新されてるうぅぅうううぅうう！！！って思いました！w頑張ってください！この作品大大大好きです！！ (2019年1月16日 16時) (レス) id: 57897e1d91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年7月11日 14時
