優しさをください。93 ページ29
結局。
私は世良ちゃんについてきてもらってスマホ探しの旅に出た。
せっかく買ってもらったばかりのものを速攻でなくすとか。私どんだけ管理能力がないのと思われかねない。
それだけはできれば避けたい。
とにかく、早く見つけなきゃ。
そして、安室さんと連絡を取らないと…！
正直、安室さんと会話をしているときにあんなことになっちゃったから、心配かけていると思う。
それだけがなんだかいたたまれない。
『(……あとは、落としたときに思いっきり「ぱきっ」って言ってたから、多分割れちゃったんだよね……それも謝らなきゃ……)』
……いや、買ってもらった数日のうちに壊すって……。だめだ、なんだか落ち込んできた。
うぅ、と小さく呻きながら世良ちゃんと並んで歩いていると、突然、ぐっと手首を握られて静止させられた。
どうしたのと聞くためにうつむかせていた顔を上げて、後悔する。
世「よお、佐竹」
佐「あれ、世良さん？どうしたの？」
世「彼女が落し物をしたって言ってたから、それを探しにきたんだ」
佐「……ああ、もしかして、落し物ってこれのことかな？」
世良ちゃんの背中に無意識に隠れるようにしていた私に向かって、ニコッと笑って差し出した佐竹くんに、思わず体をビクッと震えさせてしまう。
その瞬間の世良ちゃんの何か言いたげな視線はいたたまれなかったです……ごめんなさい。
佐「ほら、これ。Aちゃんのスマホだよね？落ちていたから、今から届けようと思ったんだ」
その手に握られているのは、間違いなく私のスマートフォン。
……これ、もしかして私がここに戻ってくるって予想つけて待ってたとかな。
こ、こわい……世良ちゃんについてきてもらってよかったかもしれない。
そう思いつつ、私はおずおずと世良ちゃんの背後から出る。
そして、目の前の人が握っているものに手を伸ばそうとした瞬間に、それを横からさらわれる。
『……えっ』
受け取る気満々だった私はものすごく肩透かしくらってしまい、間の抜けた声が出てきてしまう。
世「ありがとな、佐竹！じゃ、ボクたちはこれで！」
有無を言わせず、世良ちゃんに手をガッチリと掴まれてそのまま引きずられるように連れて行かれる。
……と、思ったのだけれど。
？「Aさん！！」
……ここで、聞こえるはずのない人の呼び声が聞こえてきた気がする。
空耳だと思いたい。
なんて、現実逃避していると、ぐっと世良ちゃんに掴まれている腕とは反対の腕を掴まれ、引っ張られて、気づけば暖かな腕に強く抱きしめられていた。
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霞葉 - このお話、とても好きです。続き、楽しみに待っています。 (2020年6月22日 12時) (
レス) id: a64398df50 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - RURUさん» RURU様、お久しぶりです！いつもあたたかなコメントを本当にありがとうございます。大変お待たせしてしまいましたが、ちょこちょこと更新も再開したいと思っておりますので、またおヒマな時に遊びに来てください！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - 白昼夢さん» 白昼夢様、コメントありがとうございます。更新大変遅くて申し訳ありません……。にもかかわらず、作品を大好きと言っていただける優しさにただただ感謝しております。ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
RURU(プロフ) - うおおおおおおおおおおおおおお！！！更新待ってましたーーー！もう大好きです！いつまでも楽しみにしてます！ (2019年2月14日 12時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢 - ああああああああああああああぁあぁああぁ！！！更新されてるうぅぅうううぅうう！！！って思いました！w頑張ってください！この作品大大大好きです！！ (2019年1月16日 16時) (レス) id: 57897e1d91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年7月11日 14時
