優しさをください。87 ページ21
結局、私は安室さんに連れられてパスタのお店に入った。手はいまだに握られたままで、店内に入る。私の手には安室さんに買ってもらったばかりのスマートフォンが握られていてそれをぎゅっと握りしめることしかできない。
安室さんはというと、先ほどのことなんて何もなかったかのように平然としている。
その大人の余裕が、なんだか少し悔しく感じるも、私にはそんな余裕がはるはずもなく結局俯いていることしかできない。
席に案内されて、私はようやく顔を上げる。
ちらっと安室さんを見れば、安室さんは優しいお兄さんという感じの微笑みを私に向けていた。
『……あの』
安「はい？」
『座らないんですか……？』
安「座りますよ、ちゃんと。その前に……」
そう言って、安室さんは私にぐっと顔を近づけてきた。驚いて私は出来うる限りに背中をそらして安室さんを避けてしまう。
そんな私を見て、安室さんは少しだけ苦笑して、そして再び私の手を引っ張ってその綺麗な顔を私の耳に寄せる。
安「あなたのその可愛い顔を、もっと見させてください」
『……っ！？』
安「赤くなっているのも、とても可愛いですよ、Aさん」
卑怯だと叫びたくなるほどの声音。もう、骨の髄まで溶かされるような感覚を味わわされて、私はぷるぷると震えた。
恥ずかしさでどうにかなりそうになってしまいそうだ。
けれど。
？「……あれ、Aちゃん？」
背後から突然かけられたその声に、私は先ほどとは違った意味で体を強張らせた。そんな私の様子と、聞こえてきた声に対して安室さんの表情が一瞬無表情にも近い怒りの表情になったのを見てしまう。
しかし次の瞬間には、いつも通りの安室さんで、困惑してしまう。
『……あっ、えっと……こ、こんにちは、佐竹くん……』
佐「やっぱり、Aちゃんだったんだね。偶然こんなところで会うなんて、すごい」
『そ、そうだね。休日は、私はあまりお出かけしないですから……』
佐「そうなんだ？だから全然見かけなかったのか。……なるほど？」
佐竹くんの差言葉に、私は体を少しだけ揺らす。
ゾッとしたものが背中を這う感覚がして恐ろしかった。
そんな私の様子をじっと見ていた安室さんは、ぐっと私の手を握りこんできた。
安「お知り合いですか、A」
『……え？』
安室さんの突然のその言葉に、私は驚いて思わず安室さんを見上げる。
安室さんは、満面の笑みで私を見つめていた。
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霞葉 - このお話、とても好きです。続き、楽しみに待っています。 (2020年6月22日 12時) (
レス) id: a64398df50 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - RURUさん» RURU様、お久しぶりです！いつもあたたかなコメントを本当にありがとうございます。大変お待たせしてしまいましたが、ちょこちょこと更新も再開したいと思っておりますので、またおヒマな時に遊びに来てください！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - 白昼夢さん» 白昼夢様、コメントありがとうございます。更新大変遅くて申し訳ありません……。にもかかわらず、作品を大好きと言っていただける優しさにただただ感謝しております。ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
RURU(プロフ) - うおおおおおおおおおおおおおお！！！更新待ってましたーーー！もう大好きです！いつまでも楽しみにしてます！ (2019年2月14日 12時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢 - ああああああああああああああぁあぁああぁ！！！更新されてるうぅぅうううぅうう！！！って思いました！w頑張ってください！この作品大大大好きです！！ (2019年1月16日 16時) (レス) id: 57897e1d91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年7月11日 14時
